融資担当者はおおむね「3~5年」で転勤する
経営相談やセミナーをしていると、社長から「今の融資担当者がとても良い人なのに異動してしまう」「次に来る担当者とうまくやっていけるだろうか」という相談を受けることがあります。
銀行では一般的に3~5年ごとに行員の転勤があるので、信頼している担当者がいなくなるというのはある種、宿命のようなものです。
定期的に異動させる理由は、さまざまな地域で経験を積ませるため。町工場の多い地域、住宅メインの地域、商業施設が多い地域、人口の多い地域、少子高齢化の進む地域など、土地柄が変わるとニーズが変わるので銀行業務の内容も違ってくるのです。
また、一つの地域に長くいると癒着やしがらみなども起こりやすくなるので、新陳代謝のために異動をさせます。
銀行の事情はそうだとしても、社長の側からすれば「せっかく仲良くなったのに、いなくなるのは心細い」とか「銀行との関係がリセットされて、新しい担当者と築き直しになる」と感じるはずです。今の融資担当者と相性が良ければ良いほど、その不安は強くなります。
ただ、安心してほしいのは融資担当者同士できちんと情報の引き継ぎをするので、関係がリセットされることはありません。会社ごとに分厚いファイルがあって(取引が長いとそれが何冊も)、これまでの取引の経歴や会社の暦年の決算書類、社長からヒアリングした情報、融資担当者による特記事項のメモ書きなどが全部残っています。
新しく来た融資担当者は引き継ぎ書を読み込んで対応に当たるので、関係は引き継がれるのです。
ただし、融資担当者ごとに考え方や能力は違うので、前任者とまったく同じ対応にはならないかもしれません。それを理解して、社長の側も付き合いをするべきです。
「前任者に言ってあるから分かるでしょ」ではなく、「ファイルにも資料があると思うけど、こうなんです」と教えてもらえると後任者も助かります。