コンプライアンス遵守のためにまずできること
コンプライアンス遵守のために、企業はどのような取り組みをすべきなのでしょうか?
企業が行うべき主な取り組みは次のとおりです。
なお、社内ですでにコンプライアンス違反が生じてしまっている場合は、これを解決しないことには次に進むことはできません。
そのため、まずは現状をしっかりと把握して、膿を出し切る必要があるでしょう。
社内規定や行動規範を整備する
コンプライアンスを遵守する体制を整えるためには、まず社内規定や行動規範などを整備する必要があるでしょう。
特に基本となる業務については、その都度個々の従業員が根拠法令を参照することは現実的ではありません。
そのため、マニュアルや作業手順書などの規定を整備することで、コンプライアンス違反が起きづらい仕組みを構築することが重要です。
また、日々の業務の中には、マニュアル化できないイレギュラーなものも少なくないでしょう。
そのような際、拠りどころとなるのが行動規範です。
行動規範とは、その企業で大切にすべき価値観や望ましい行動を示した規定であり、「クレド」と呼ばれることもあります。
ただし、社内規定も行動規範も、作成すること自体が目的となってしまっては意味がありません。
実際にコンプライアンス遵守体制を整える目的でこれらの規定を整備するのであれば、他社の規定を引用するなどの方法で作成するのではなく、専門家とともに一つずつしっかりと検討を重ねたうえで作成する必要があるでしょう。
弁護士に相談できる体制を整える
コンプライアンスを遵守する企業体制を構築するためには、弁護士と顧問契約を締結するなど、弁護士にすぐに相談できる体制を整えておくことも重要です。
実際に業務を進行していくにあたっては、法令上問題がないかどうか判断に迷うことも少なくないでしょう。
そのような際にすぐに弁護士へ相談できれば、思わぬ法令違反を防ぎやすくなります。
コンプライアンス研修を実施する
社内でコンプライアンス研修を実施することも、コンプライアンスの遵守体制を構築するうえで重要です。
コンプライアンスの遵守体制を社内に浸透させるためには、一度のみ研修を行うのではなく、定期的に行う必要があるといえます。
研修講師は社内から募ることのほか、外部の弁護士などに依頼することも一つの手です。
相談窓口を設置する
社内でコンプライアンスの遵守体制を構築するためには、仮に社内でコンプライアンス違反が疑われる事象が発生した際に早期に発見し、改善する仕組みの構築が重要です。
そのためには、相談窓口の設置が不可欠でしょう。
そのうえで、相談したことによって不利益を被ることのないよう周知徹底する必要があります。
定期的に社内調査を行う
コンプライアンス違反を見逃さないため、定期的に従業員へヒアリングをしたり、アンケートをとったりすることも一つの手です。
これにより不祥事の芽が発見できれば、早期に対応できる可能性が高くなります。
なお、アンケートを匿名とすべきか記名とすべきかはケースバイケースですが、匿名回答の方がより踏み込んだ意見を得やすいといえるでしょう。
まとめ
企業がコンプライアンスを遵守することは、今や社会的な要請となっています。
企業が存続し続けるためには、コンプライアンスの遵守は避けられないといえるでしょう。
しかし、コンプライアンスを遵守する体制は一朝一夕に構築できるものではありません。
現時点で何か問題が生じていればまずはその膿を出し切ったうえで、社内規定を見直したり相談窓口を設置したりするなど抜本的な対策が必要となります。
西尾 公伸
Authense法律事務所
弁護士
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