税務調査でチェックされるポイント
それでは税務調査が入るとどのようなところをチェックされるのでしょうか。具体的には次のようなものが対象になります。
・申告漏れの財産はないか
・通帳から引き出した現金はどんなことに使ったか
・被相続人が亡くなる前の収入についての申告に漏れはないか
また、申告漏れがないかどうかについて、参考にするために、被相続人の生前の状況などもヒアリングを受けることがあります。具体的には下記の内容が挙げられます。
・被相続人の両親の相続
これらは、雑談のようなシチュエーションで聞かれることもありますが、それらの会話から、申告漏れにつながる情報を探している可能性があります。
そして、被相続人だけでなく、家族についても聞かれることがあります。たとえば、配偶者の出身地、職業、生活状況、財産状況などが挙げられます。
そもそも税務署は税務調査の当日だけではなく、事前に詳細を調べたうえで、対象になりそうなポイントを絞って、税務調査に臨んでいます。そこからも税務調査が行われたうちの約8割が申告漏れの指摘があるという統計が物語っています。
税務調査の対象になりやすい人
それでは税務調査はどのような人が対象になりやすいのでしょうか。
1.納税額/遺産額が多い人
まずひとつ目として、相続税納税額や遺産額が多い人です。こちらはやはり財産が多いとその分確認するポイントも多くなりますし、その分申告漏れや計算ミスの可能性も高くなります。
そして、相続税の計算構造が、遺産額が多ければ多いほど、税率が高くなるため、その分、申告漏れの指摘があった際の追徴課税も多くなります。結果として積極的に税務調査は入りやすくなります。
2.相続税の申告をしていない人
次に2つ目として、相続税の申告対象なのに、もしくは相続税がかかるのに、相続税の申告をしていない人です。
これは一般的に勘違いされやすいポイントとして、配偶者控除などの制度を利用して相続税がかからない場合も申告はしなければならないという点です。
相続税は配偶者については、比較的大きな控除枠が設定されています。内容としては、遺産額が「1億6,000万円」または「法定相続分」までであれば相続税は非課税になるというものです。それにより、相続税はゼロ円になる可能性は非常に高くなります。
結果ゼロ円だから、申告不要でしょう?と思ってしまいがちですが、それは間違いです。この配偶者控除の適用を受けるためには要件があります。
・相続税の申告をしていること
・遺産分割が確定していること
これらの要件があってはじめて、配偶者控除が適用できることになります。
これに似たものとして、基礎控除がありますが、基礎控除以下であればこちらについては申告不要になります。基礎控除額とは3,000万円+法定相続人×600万円になります。
そのほかにも小規模宅地の特例など相続税の軽減措置がありますが、原則として申告をすることが対象になります。相続税がゼロだからといって申告をしないと大変なことになります。まとめると、
遺産総額 ≦ 基礎控除 ⇒ 相続税の申告は不要
となり、計算される相続税の有無は関係ありません。
3.税理士に依頼せず申告した人
最後に3つ目として、税理士に依頼しないで申告した人です。
わかりやすい理由としては、税理士に依頼していないというところから不備があるのではというチェックが入る可能性があります。特に相続税の申告にあたっては、税理士が申告する場合、相続税評価の根拠になる資料をかなりの枚数で添付しています。
そして、税務代理権限証書だけではなく、書面添付をしていることも多くあります。この書面添付制度とは申告書の作成において、税理士がどのように判断して作成したかということを書面に詳細に記載して、申告書に添付して提出するものになります。
そして、書面添付がある申告書については、税務調査の対象となっても直ちに調査が行われるのではなく、税務調査の事前通知前に税理士の意見徴収が行われます。この意見徴収によって調査省略となることもあります。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
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