急速な円高への巻き戻しに見られる要因
円高への巻き戻しは2022年の秋から年末年始にかけても見られたことから、背景にあるのは投機筋の年末を控えてのポジションの手仕舞いである。日米金利差縮小云々というのは、彼らの取引を促す材料(カタリスト)であって、為替レートの決定要因ではない(この話は長くなるので別の機会に)。
2022年は投機筋のポジション調整は大掛かりなものになり、2023年1月過ぎまで続いたし、ドル/円の下落も130円割れまでいった。
今回はそこまでいかないだろう。200日移動平均線程度のテクニカルでは効かないが、一目均衡表の週足の雲は強力なサポートになる。140円割れには雲の上旬があり、まずは140円が大きな抵抗ラインとなるだろう。
金利差云々で相場が反転するとすればFOMC(米連邦公開市場委員会)で市場の早期利下げ期待が裏切られること。市場は来年1%超の利下げを織り込んでおり、明らかに行き過ぎである。
来週のFOMCにおける市場のリアクションを考えよう。二者択一である。
ケース2)FOMCではそれほど大きな利下げが示唆されない
ケース1)の場合、市場はどう反応するか? すでに織り込み済みだから、大きくは反応しないと考えるのが普通だろう。ケース2)はどうか? 市場の期待が裏切られるのだからネガティブな反応になるのが普通だろう。
そう考えれば、ドル/円はドルが買い戻される可能性がじゅうぶんある。
日本株とドル円相場の関係
日本株はそもそもドル/円とは関係ない。論より証拠、グラフをご覧ください。2022年、ドル/円が150円に向かって一本調子に円安で動いたとき、日経平均はまったくの横ばいだった(グラフの「1」のエリア)。今年の6月~7月に株価が高値を付けた時、円相場はいまより円高だった。その後、円安が進むなかでも株価はまったく連動せず、10月にダブルボトムをつけている(グラフの「2」のエリア)。
足元で、とってつけたような円高理由の株の弱気論は、いつもの気迷いごとと聞き流すに限る。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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