本記事のポイント
・円高を材料に日本株は続落
・急速な円高への巻き戻しに見られる要因
・日本株とドル円相場の関係
円高を材料に日本株は続落
円高を材料に日本株が続落している。
為替市場というのは投機の場だから、とやかく言うつもりはないが、一時141円まで突っ込んだのが、日銀の植田総裁の「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」という発言が材料だというのだから、呆れてしまう。一部の報道に、コンピューター・プログラムの多くは植田氏の「チャレンジング」というコメントを十分には咀嚼できなかったとあったが、実際そのとおりなのだろう。
「マイナス金利解除へ」と市場が捉えても無理はない。今週月曜日にあった日銀の多角的レビューの有識者による初めてのワークショップ、続いて氷見野良三副総裁が金利上昇が家計に金利収入をもたらす可能性に言及、そして植田総裁による参議院の財政金融委員会でのこの発言とくれば、まあ、こういう流れにもなるだろう。
しかし、おおもとのところは、マイナス金利解除でもゼロ金利になるだけだろう。So what? ではないか。まあ、いい。為替市場というのは投機の場だから、そんな理屈を言っても仕方ない。
理屈が通用しないなら、テクニカルは有効か? 141円まで突っ込んだところで急速に戻ったが、「200日移動平均線にワンタッチしたから」との見方がある。
200日移動平均線は3月、5月の上昇時には上値抵抗になり、7月の急落時には下値支持になった。今回もここで支えられる可能性はあるが、あまり期待はできない。
このグラフはちょうど1年前のものだ。いまと同じに年末にかけて急速に円高に巻き戻ったが、いったんは200日移動平均線で止まる。しかし、200日移動平均線がサポートになったのは、ほんのわずかのあいだですぐにブレークされ、下値を探った。底を入れたのは年明け1月の半ばであった。