日銀動向の予想と12月の米ドル/円予想レンジ
日銀は、1年前の12月の金融政策決定会合で、10年債利回りの上限を拡大する「サプライズ」をもたらしました。
当時米金利が大きく低下に向かっている局面で、日本の10年債利回りは米10年債利回りの影響を強く受けるため、その米金利が低下に転じたことから、日本の10年債利回りの上限を緩和しても、上昇は限られるとの判断があったのでしょう(図表9参照)。
以上の観点から、米金利の状況は1年前と似ているので、日銀としてはいよいよ10年債利回り上限を撤廃、YCC(イールドカーブ・コントロール)を終了するチャンスと見ている可能性があります。
本来、中央銀行でもコントロールできない長期金利を政策目標としてきたYCC政策は、経済学者の植田日銀総裁からすると早く止めたいのが本音ではないでしょうか。
その意味では、米金利低下との関係を慎重に見極めながら、12月会合でYCC終了を検討する可能性は十分にあり得ます。
以上を踏まえると、12月の米ドル/円は上昇方向の動きは限られ、波乱があるなら下落方向ではないかと考えます。このため予想レンジは、142~149円で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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