植田日銀総裁の発言“だけじゃない”!?…「1ドル141円」まで円高が進んだ“本当の”理由【週間の予想レンジを公開】

12月12日~18日の「FX投資戦略ポイント」

植田日銀総裁の発言“だけじゃない”!?…「1ドル141円」まで円高が進んだ“本当の”理由【週間の予想レンジを公開】
(※画像はイメージです/PIXTA)

12月7日、米ドル/円は一時1ドル141円台まで円高が進みました。これは、植田日銀総裁の国会での発言が「金融緩和見直しの前倒し思惑」につながったことが主因とみられます。ただ、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、「より本質的に重要な理由がある」といいます。その理由とはいったい……吉田氏の見解と今後の米ドル/円の予想について、詳しくみていきましょう。

12月12日~18日の「FX投資戦略」ポイント

〈ポイント〉

・先週の米ドル/円は瞬間的に141円台まで急落した

・日銀の緩和見直し前倒し思惑がきっかけだったとの指摘が多いが、テクニカルに重要な損益分岐点を割れたことで、大量の米ドル買い・円売りポジションの処分売りが拡大したことが主因とみられる

・今週はFOMCなど注目イベントが多いが、米ドルの上値重い展開を予想。予想レンジは142~146.5円

先週の振り返り…瞬間的に「141円台」まで米ドル急落

先週の米ドル/円は、瞬間的に141円台まで急落する場面がありました(図表1参照)。これは、植田日銀総裁の発言を受けて、金融緩和見直しの前倒し思惑が浮上し、円金利が大きく上昇したことが主因と考えられます。

 

確かにそれはきっかけだったと思いますが、より本質的に重要な理由として「テクニカルな分岐点を割れたこと」が挙げられます。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年8月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

米ドル/円は、5月以降上回って推移していた120日MA(移動平均線)を、先週後半に大きく割り込みました(図表2参照)。120営業日とはおおむね半年程度なので、別な言い方をすると、過去半年間の米ドル/円の平均値を割れてきたということになります。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円と120日MA(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

これにより、金利差収入を別にすると、過去半年間の米ドル買い・円売りポジションは、損失の拡大懸念が広がってきた可能性があります。

 

米ドル買い・円売りは、日米の大幅な金利差米ドル優位を投資機会ととらえて、急拡大してきました。

 

ちなみに、ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジション(対米ドル)は、一時13万枚の売り越し(米ドル買い越し)に拡大しました。これは2017年以来約6年ぶりの高水準でした(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2015年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

ただ、客観情勢を見ると、米ドル買い・円売りポジションは、もっと膨大に膨らんだ可能性があります。

 

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