(※写真はイメージです/PIXTA)

老後にペットを飼い始めて刺激のなかった日々が一変し、充実した生活を楽しむ人もいるでしょう。そんな素晴らしさがある一方、飼育費用などのいままでなかったコストが毎月固定で発生します。こうしたコストによる家計への負担を侮ってはいけません。本記事では、山川さん(仮名)の事例とともに、老後にペットを飼い始める際の注意点を株式会社ライフヴィジョン代表取締役の谷藤淳一FPが解説します。

夫と突然の死別…そして気がつけば2,000万円以上の貯蓄が消失

愛犬を迎え入れ非常に充実したセカンドライフを送っていた山川さん夫妻でしたが、1年前夫の突然の体調不良から病院にかかってみると、まさかのすい臓がんの診断。しかもステージ4とかなり進行した状態で、治療も難しい状態とのこと。主治医からも余命3ヵ月との宣告がありましたが、その宣告どおり初診から約3ヵ月で夫が亡くなってしまいました。

 

頼りにしていた夫の突然の死。失意に暮れた山川さんですが、そんな山川さんを慰めてくれたのが愛犬の存在でした。山川さんは愛犬を迎え入れたことに対してあらためて感謝の念が湧き、それ以降愛犬をさらに溺愛していくように。

 

夫ががんで亡くなったため、最近では犬もがんを患うということを耳にし、山川さんは愛犬の病気に対しても不安を抱くようになり、少しでも異変を感じたらすぐにペットクリニックで診てもらい、日ごろの食事も獣医師に勧めてもらった多少費用が掛かるものに変えました。

 

また山川さんが費用を負担して、2人の息子家族を連れて、夫とともに行った宿へ思い出をたどる旅行に出たりして少しずつ悲しみから立ち直っていくことができました。

 

「詐欺かと思いました(笑)」

そんな調子で愛犬とともに暮らし始めて約2年。引き続き愛犬に癒される日々を送っていた山川さんですが、あるとき預金通帳を見て驚きます。

 

なんと4,000万円あったはずの残高が2,000万円を切ってしまっています。

 

最初はなにかの間違いかと思ったのですが、よくよく明細を見てみると、まず2ヵ月に1回の年金収入は夫が亡くなって以降、遺族年金という形になりそれまでの約7割程度(月17万円程度)の金額に減っています。それに対し支出ですが、毎月のクレジットカード会社の引き落とし額がここ2年で大幅に大きくなっています。

 

月によっては100万円を超えているものもありました。

 

犬を飼う前は特別な出費はほとんどなく年金収入と支出がほぼトントンであったため、あまり通帳を見る習慣もなくなってしまっていました。

 

そして買い物のほとんどはクレジットカードなどキャッシュレス決済になっていたため、現金がなくなっていく感覚も失われていたのです。そこへ2年前から愛犬のための出費が加わりました。

 

おそらく減った預金残高はほぼすべて愛犬のための出費であったと思われますが、山川さんもこの2年を振り返ってみると身に覚えがあり、減った貯蓄額を見て思わず「2人の息子の大学の費用と同じくらいの金額ね……」と思わずつぶやきました。

 

「貯金がこんなに一気に減ったことはなかったので詐欺にでもあったのかと思いましたよ(笑)」

 

冗談交じりで言いますが、実際、笑っている場合ではないのです。

 

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