(※写真はイメージです/PIXTA)

老後にペットを飼い始めて刺激のなかった日々が一変し、充実した生活を楽しむ人もいるでしょう。そんな素晴らしさがある一方、飼育費用などのいままでなかったコストが毎月固定で発生します。こうしたコストによる家計への負担を侮ってはいけません。本記事では、山川さん(仮名)の事例とともに、老後にペットを飼い始める際の注意点を株式会社ライフヴィジョン代表取締役の谷藤淳一FPが解説します。

適切な費用見積もりと管理を

現在71歳の山川さん。2年で2,000万円以上の貯蓄を消失させてしまったのですが、なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

 

一般社団法人ペットフード協会の『令和4年 全国犬猫飼育実態調査』によると、年代別の犬の飼育状況は60代で11.6%となっており、その60代の犬の飼育理由の1位は『生活に癒し・安らぎがほしかったから』となっています。子供が独立し夫婦だけの世帯、または配偶者がいない、いなくなった独居世帯で、現役時代と違って社会や人とのつながりが少なくなり、老後の孤独感の解消のために犬などペットを飼育する人も増えています。

 

刺激の少なかった日々に潤いを与えてくれた愛犬の存在。これ自体はとても素晴らしいことでしょう。ただ溺愛のあまり家計管理に対して盲目になってしまっていた点には問題があるといえます。

 

山川さんはこれから仕事について新たに家計収入を増やすという意思はないため、それであれば現在の資産を大事にしていかなければ、老後資金が立ち行かなくなる可能性があります。

 

シニア世帯で癒しが欲しいために犬や猫を飼うことを考える人もいるかと思いますが、飼育経験のない人が新たに飼い始める場合には慎重な検討が必要です。以下でそのための注意点を2つ述べていきたいと思います。

 

1.人間以上!? ペットにかかるコスト

1点目は想像以上にコストがかかるということです。

 

ペット保険大手のアニコム損害保険株式会社が保険契約者へのアンケート結果として公表された『2022年の1年間にペットにかけた年間支出費用』によると、1年間にペットの犬にかける費用は約36万円。ということで、金額が高額となるものを上からあげると、
 

 

ケガや病気の治療費:約6万7,000円
フード・おやつ:約6万6,000円
シャンプー・カット・トリミング料:約4万7,000円
ペット保険料:約4万5,000円
ワクチン・健康診断等の予防費:約3万4,000円

 

となっています。ただこれらの金額はあくまで平均値で、質を高めればさらに高額になっていき、その費用が毎月の固定費として続いていきます。愛犬を溺愛するほど『少しでもよいものを』と財布のヒモが緩むのです。

 

ペットを飼うというと『エサ代がかかる』ということは誰でも想像できますが、ほかにも洋服、トイレや清掃用具などの消耗品費、栄養補給のためのサプリメントの費用など、人間にかかるのと同じような費用がさまざまあります。

 

また事例でもあったように、現在は愛犬とともに楽しめる施設が増えており、その楽しさからレジャー費が想像以上に大きなものになることも考えられます。

 

2.人間同様長生きの時代に

2点目は、ペットも長生きするという想定が必要ということです。

 

一般社団法人ペットフード協会の『令和4年 全国犬猫飼育実態調査』によると、犬の平均寿命は全体平均で14.76才となっており、10年前の13.94才から伸びています。以前と比べてペットの食事の栄養や医療が充実してきて、長生きによって先述したコストがより長い期間かかり続けるのです。

 

そのため、愛犬可愛さに盲目的に出費を続けていると、家計が慢性的な赤字状態となり想像以上に資産を減らす可能性があります。

 

そうした事情も考慮すると、いまの時代にペットを飼うということは、人間の家族が1人増えたのと同じような前提で家計出費をよく把握し毎月の生活費のなかで飼育費用をカバーするという管理が必須です。

 

人間同様ペットも年齢が上がれば上がるほど、医療費がかかる可能性がありますし、終末期の段階においてはペットの介護という話が出てくることもあります。

愛するペットとともに長生きするためのお金の使い方

ペットを飼うことによりそれまでの生活では味わうことができなかった喜びを得られる一方、初めての場合には想像以上のコストが発生します。

 

老後の年金生活において初めてペット飼育を始めて、甘い見積もりのまま楽しみばかりに目を奪われると、老後破産という悲劇を招きかねません。

 

いままさにペットを飼うことを考えている方は、そのペットごとに想定される費用見積もりを慎重に行い、飼育をした場合のキャッシュフローなどを精査したうえで判断し、ペットと豊かな老後を過ごすことを勧めます。

 

 

谷藤 淳一

株式会社ライフヴィジョン

代表取締役

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

 

【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

 

※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧