プロジェクトの現場はいつも「想定外」「トラブル」と隣り合わせです。プロジェクトのオーナーと直接やり取りできない、複数のオーナーが存在する…といった難しいケースを円滑にまとめる方法を見ていきます。孫正義氏のもとで〈プロマネ〉を務めた三木雄信氏が解説します。※本連載は、三木雄信氏の書籍『孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み』(PHP新書)より一部を抜粋・再編集したものです。
「本当のオーナーと直接やりとりできない」状況に潜むリスク
Q
上司の上司がじつは影のオーナーだったり、クライアント担当者の上司がオーナーだったりと、本当のオーナーと直接やりとりできない場合はどうすればいい?
A
チャーターを渡して「オーナーが承認した」という証拠を残しましょう。
これもチャーターを作成することが解決策になります。
担当者を介してオーナーとやりとりするしかないなら、口頭で伝言や情報共有を頼むのは危険です。
後で「言った、言わない」のトラブルになるので、必ず紙に書いたものを渡してもらうようにしてください。
定例会で新たに決まったことや変更したことがあれば、その都度チャーターを書いて担当者に託し、オーナーの承認を受けます。
オーナーが定例会や会議に出てくる意思がないなら、「あなたがチャーターとして承認した内容が、プロジェクトとしての意思決定になります」ときちんと伝えることが必要です。
議事録を渡す程度だと、ただの報連相だと思われて、後から「自分は意思決定した覚えはない」などとちゃぶ台返しをされる恐れがあります。
オーナーがプロジェクトに直接コミットしないケースほど、チャーターを交わして「オーナーのあなたはここに書かれたことを承認しました」という証拠を残して、鶴の一声を防ぐことが必要です。
トライズ株式会社 代表取締役社長
1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部経営学科卒。
三菱地所(株)を経てソフトバンク(株)に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏のもと、多くの米国IT企業とのジョイントベンチャーのプロジェクト、「ナスダック・ジャパン設立」「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)買収」「ソフトバンクの通信事業参入」などのプロジェクトで、プロジェクト・マネージャーを務める。
トライズ株式会社代表、2015年に英語コーチング「TORAIZ(トライズ)」を開始。日本の英語教育を抜本的に変え、グローバルな活躍ができる人材の育成を目指している。
著書に、『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(東洋経済新報社)、『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』(ダイヤモンド社)、『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』『ムダな努力を一切しない最速独学術』(ともにPHP研究所)ほか多数。
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