相手の説得は「熱意・懇願」ではなく「数字(実数)」で行う
Q
オーナーである社長にチャーターを提示したが、そもそも最初から無理な予算や人手でやらせようとして、こちらが提案する内容を承認しようとしない場合は?
A
社長の責任にすること。プロマネだけが責任を負うのは回避しましょう。
まずは社長を説得するための客観的事実を揃えます。
プロジェクトの工程を細かく分けて、どのプロセスにどれだけのリソースが必要なのかを数字で明らかにしてください。
相手を説得するには、熱意や懇願(こんがん)ではなく、「数字(実数)で示す」ことが不可欠です。過去の同様の事例などを参考にすれば、具体的な実績値が出せるでしょう。
さらに、プロマネが1人で説得するのではなく、予算や人手が不足する原因となっている機能部門のトップも交えて、オーナーと状況を共有することが重要です。
営業が無理な納期で受注を受けてきてしまったのなら、営業部門のトップも同席して、用意した数字を示しながら「何がどれだけ足りないか」を客観的事実として伝えます。
そして営業部門のトップの前で、「このままでは納期が遅れて、発注先から訴訟を起こされるリスクも想定できます。追加のリソースをもらわないと、そのリスクは回避できませんが、社長はどう判断されますか」と意思決定を促しましょう。
それでも社長がリソースの追加を拒むなら、訴訟が起きた時の責任は社長が負うことになります。プロマネの責任にはなりません。
もしプロマネと営業部門のトップの間だけで対応を決めてしまったら、失敗してしまった時にプロマネがすべての責任を押し付けられることになります。
「受注しちゃったんだから、何とか頼むよ」と営業部門にプロマネが押し切られ、予算や人手が不足したままプロジェクトに突入することはよくありますが、下の者同士だけで解決しようとするのは絶対にやめましょう。