【プロジェクトマネージャー、疾走】複数オーナーがいるプロジェクト…「1つの結論に着地→円滑に進行」を実現する、納得のテクニック

【プロジェクトマネージャー、疾走】複数オーナーがいるプロジェクト…「1つの結論に着地→円滑に進行」を実現する、納得のテクニック
(画像はイメージです/PIXTA)

プロジェクトの現場はいつも「想定外」「トラブル」と隣り合わせです。プロジェクトのオーナーと直接やり取りできない、複数のオーナーが存在する…といった難しいケースを円滑にまとめる方法を見ていきます。孫正義氏のもとで〈プロマネ〉を務めた三木雄信氏が解説します。※本連載は、三木雄信氏の書籍『孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み』(PHP新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

「オーナーが複数いるプロジェクト」を円滑に着地させる方法

 Q 

プロジェクト・オーナーが複数いる場合、プロマネはどう対応すべき?

 

 A 

オーナー全員が集まって合議制で意思決定する場を作りましょう。

 

プロジェクト・オーナーは1人であるべきですが、現実には、どうしてもオーナーを1人に絞れないこともあります。

 

私がプロマネを務めた日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)買収プロジェクトでは、ソフトバンクの孫社長(当時)、オリックスの宮内義彦会長(当時)、東京海上火災保険の樋口公啓社長(当時)の3名がオーナーでした。

 

企業同士が対等な合併や提携を行なう案件では、それぞれのトップがオーナーにならざるを得ません。よってどうしてもオーナーが複数になってしまうわけです。

 

この場合、プロマネがやるべきことは、定期的にオーナーが集まる定例会をセッティングし、合議制で意思決定してもらうことです。

 

オーナーが複数いても、最終的に1つの結論が出れば、プロジェクトは円滑に進められます。

 

毎回の定例会で現場から上がってきた議題を合議にかけ、オーナーたちが出した結論を必ず紙に残して共有してください。

 

そうすれば、常に最新の状況に対してオーナー全員の承認が得られるので、後で鶴の一声による手戻りが発生することはありません。

 

当時、日本債券信用銀行は預金保険機構の管理下に置かれていたので、プロマネである私が窓口となって預金保険機構と買収交渉を進めました。また、オリックスや東京海上火災保険から参画したプロジェクト・メンバー同士の横をつないで、現場レベルでやるべきことはどんどん決めていきました。

 

こうして現場で決まったことをオーナーが集まる定例会にかけて、承認をもらいながらプロジェクトを進め、何とかこの大型案件を無事にやり遂げることができたのです。

 

この案件のように、どうしてもオーナーを1人に絞れない場合は、オーナーが集まるステアリングコミッティ(大規模なプロジェクトにおいて意思決定や利害調整を行なう委員会のこと)や定例会などの場を作り、全員が合意の上で1つの結論を出してもらうことが重要です。

 

 

三木 雄信
トライズ株式会社 代表取締役社長

※本連載は、三木雄信氏の書籍『孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み』(PHP新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み

孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み

三木 雄信

PHP研究所

ミスによる手戻り、上層部からの横やり、経営陣のちゃぶ台返し――。プロジェクトの現場は、いつもモメ事だらけ! それでも、なんとか目標を達成しようとリーダーが鼓舞し、メンバーは定期的にデスマーチを繰り返す…。あまつ…

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