プロジェクトの現場はいつも「想定外」「トラブル」と隣り合わせです。ただでさえ多忙なスタッフに気持ちよく仕事を引き受けてもらうためには、プロジェクトが始まる以前から、やっておくべき「下準備」がありました。孫正義氏のもとで〈プロマネ〉を務めた三木雄信氏が解説します。※本連載は、三木雄信氏の書籍『孫社長のプロジェクトを最短で達成した 仕事が速いチームのすごい仕組み』(PHP新書)より一部を抜粋・再編集したものです。
若手プロマネが、年上スタッフを動かすときの注意点
Q
若手がプロマネに抜擢され、年上のメンバーがいる場合、留意すべきこととは?
A
相手の年齢に関係なく礼儀を守ること。オーナーの「虎の威」も上手に借りましょう。
大事なのは、礼儀やマナーを守ることです。
これは年上のメンバーに対してだけでなく、プロマネは誰に対しても同じ口調や態度で接するべきです。
私自身、相手が年上だろうと、若手や部下だろうと、呼び方は常に「○○さん」です。
呼び捨てにすることもなければ、極端にへりくだることもなく、誰に対しても同じように接することを徹底しています。
相手によって態度を変えるから、「あの人には敬語なのに、私にはぞんざいな言葉遣いだった」などと不満を抱く人が出てくるのです。
常にフラットな態度でいれば、そんな無用のトラブルは防げます。
また、プロマネより年上のメンバーが多く、チームのハンドリングが難しいと感じた場合は、時々でいいのでオーナーを定例会に呼ぶと効果的です。
プロマネがどんなに若くても、オーナーときちんとチャーターを交わして承認を得た人物であることをメンバーの前で示せるからです。
私もソフトバンク時代は周囲が年上ばかりだったので、孫社長の“虎の威(とらのい)”を時にはうまく借りていました。
若手がプロマネになると、「どうせ会社もこのプロジェクトには大して期待していないんだろう」などと考えるメンバーがいるものですが、定例会にオーナーが参加すれば、そんな思い込みも覆すことができます。
キックオフはもちろんのこと、ぜひ定例会にもオーナーを呼んでください。
トライズ株式会社 代表取締役社長
1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部経営学科卒。
三菱地所(株)を経てソフトバンク(株)に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏のもと、多くの米国IT企業とのジョイントベンチャーのプロジェクト、「ナスダック・ジャパン設立」「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)買収」「ソフトバンクの通信事業参入」などのプロジェクトで、プロジェクト・マネージャーを務める。
トライズ株式会社代表、2015年に英語コーチング「TORAIZ(トライズ)」を開始。日本の英語教育を抜本的に変え、グローバルな活躍ができる人材の育成を目指している。
著書に、『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(東洋経済新報社)、『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』(ダイヤモンド社)、『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』『ムダな努力を一切しない最速独学術』(ともにPHP研究所)ほか多数。
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