“最悪のタイミング”のいまこそ、「積み立て投資」の始めどき
[図表2]は、2000年のITバブルのピークから、基準価額10,000円の米国株式投資信託(S&P 500に連動)につみたて投資を始めた場合の、投信の基準価額【緑】と平均買い入れ単価(=持ち値)【灰色】の推移をみたものです。
言い換えれば、「最悪のタイミング」から積み立て投資を始めた人の状況を追いかけています。実は最悪ではなく、良いタイミングです。
この投資家は、2000年8月のITバブルのピークから積み立て投資を始めていますから、買い始めた途端に【緑】の基準価額はどんどん下がっていきます。ITバブルの崩壊です。
ただし、それとともに【灰色】の買い入れ単価(=持ち値)も下がっていきます。
その後、【緑】の基準価額が10,000円に戻るのは、2006年の10月です。ただし、投資家が含み益に転じるのは、それよりも3年程度早い2003年12月です。当然ながら、この投資家は、2000年8月から毎月積み立てをして、持ち値が下がっているためです。「株価の下落局面で積み立て投資を開始すれば、株価の完全回復を待たずとも、含み益が出ます」。
“100年に1度のショック”でも、株価の完全回復を待たずに含み益が出た
同じことは、2008年のリーマン・ショックでも確認できます。『100年に1度のショック』でも大丈夫でした。もしも、みなさんが「タイプB」、すなわち(株価は「長期右肩上がり」だと思うが)しばらく株価は下がると考える場合には、いまこそ積み立て投資の「始めどき」です。
合わせて、【右】の【緑】と【灰色】の「系列名称」のところに現在の基準価額と買い入れ単価を載せておきました。23年間ほど積み立てをし、現在の基準価額が43,000円を超えても、買い入れ単価は17,000円台と持ち値はかなり低い状態です。
まとめると、「これから下がるなら、積み立て投資。全戻しせずとも、プラスに転じる」です。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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