あらゆるITツールが対象となる
「通常枠」の補助対象となる費用は以下の3種類のITツール等です。
・ソフトウェア購入費
・クラウドサービス利用料(1年分)
・ソフトウェアまたはクラウドサービスの導入関連費
「A類型」と「B類型」のいずれも、「プロセス要件」を満たし、労働生産性の向上に役立つものといえれば、対象となります。「プロセス要件」は、全業種に共通の業務を類型化した5つの「業種共通業務プロセス」に加え、業種ごとに固有の業務を類型化した「業種固有プロセス」、業種・業務にかかわらず生産向上に役立つ「汎用・自動化・分析ツール」があります。
◆業種共通業務プロセス(5種類)
まず、「業種共通業務プロセス」はあらゆる業種に共通する業務をカバーするものであり、以下の5種類です。
【業種共通業務プロセス】
1. 顧客対応・販売支援
2. 決済・債権債務・資金回収
3. 供給・在庫・物流
4. 会計・財務・経営
5. 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム
◆業種固有プロセス
「業種固有プロセス」は、業種ごとに固有の業務を細かく網羅したものです。たとえば「製造業」の「業種固有プロセス」を紹介すると、以下の通りです。
【製造業の業種固有プロセス】
・品質管理(部品・完成品、生産プロセス、トレーサビリティ、外注先評価)
・製造⼯程管理(製造指⽰、指⽰書、納期管理、ロット管理)
・製造管理(作業進捗、作業⽇報、安全管理、MES)
・製造設備管理(稼働状況、設備保全)
・⽣産管理(⽣産計画⽴案、⼯程計画、資材所要量計算)
・CAD、CAM、CAE
・部品表(BOM)・配合表(食品加工)、コスト計算、原価計算
・プリプレスツール:組版、デザインツール、工程管理・品質管理
このように、業種ごとにあらゆる業務がきわめて詳細に網羅されており、どの業種でも、ほとんどの業務が対象となるとみられます。
「A類型」と「B類型」の要件
IT導入補助金(通常枠)には「A類型」と「B類型」があります。「B類型」の方が補助額が大きい代わりに「プロセス数」の数が多く、しかも「賃上げ目標の達成」が必須となっています([図表5]参照)。
なお、B類型のほうが要件が厳しくなってるとはいうものの、採択率は前述のように直近で60%を超えており、高水準といえます。
手続きの流れ
IT導入補助金(通常枠)の申請手続はすべてオンラインで行うことになっています。
対象となるITツールを提供する「IT導入支援事業者」から「申請マイページ」への招待を受けます。あとは、「交付申請の手引き」に従って行えばよいしくみになっています。
【申請手続きの流れ】
1. 「IT導入支援事業者」へ補助事業に関する問合せ、相談等
2. ITツールの選定及び導入するITツールの商談、見積もり等の依頼
3. 交付申請の作成・提出(「申請マイページ」からIT導入支援事業者と共同で)
4. 交付決定
5. 事業実績報告の作成・提出
6. 補助金確定通知・補助金の交付
7. ITツール導入後のアフターフォロー
8. 事業実施効果報告の作成・提出
2023年度の「通常枠」は現在「8次締切分」の申請を受け付けています。申請受付期限は11月27日(月)17:00ですが、「第9次締切分」(12月25日(月)17:00まで)、「第10次締切分」(2024年1月29日(月)17:00まで)もあります。
IT導入補助金は、ありとあらゆる業務・ITツールが補助対象となっており、ITによる業務効率化にとって資金面で強力な支えとなります。しかも、申請の手続きもITツールの提供事業者のサポートを受けてオンラインで比較的簡単にできるので、獲得しやすくなっています。実際、採択率は80%近くになっています。「2025年の崖」の問題への対処も兼ねて、ぜひ、積極的に利用することをおすすめします。
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