(※写真はイメージです/PIXTA)

19世紀後半、日清戦争の勝利後、韓国での権益強化を進める日本に対して、満州支配を加速するロシア。ロシアへの戦争を強硬すべきという国内世論の気運も高まり、ついに日露戦争が勃発します。『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)著者で有名予備校講師の山中裕典氏が、日露戦争に焦点をあてて、その当時の日本と諸外国の歴史を解説します。

ついに、日露戦争が開戦

多額の戦費に日本の国力が限界に達し、ポーツマス条約の締結に至る

〔第1次桂内閣〕のもとで日露戦争(1904~05)が始まると、日本は満州の旅順や奉天で勝利し、日本海海戦では圧勝しました(連合艦隊司令長官東郷平八郎の活躍は有名ですね)。

 

しかし、内債・外債(政府の国内外からの借金)や増税で調達した戦費は多額で、国力の限界に達しました。セオドア = ローズヴェルト米大統領が講和を仲介し、日本全権の小村寿太郎ウィッテとの間でポーツマス条約(1905)が結ばれました。

 

 

ロシアには勝利したものの、賠償金が得られず国民の不満が高まる事態に

まず、日本が韓国において政治・軍事・経済面での利益を得ることを、ロシアは承認しました。ロシアが韓国から退き、日本が韓国進出を強化していくことになります。

 

そして、ロシアが清から得ていた権益のうち、旅順・大連租借権と、東清鉄道南部支線長春・旅順間の経営権が、ロシアから日本へ譲られました。今後の日本は、ポーツマス条約で獲得した満州権益を維持・拡大していく道を一貫して歩むことになります。

 

さらに、ロシアは樺太北緯50度以南の部分を日本に割譲し、日本はこれを植民地としました。しかし、賠償金なしという内容に国民の不満が高まり、講和反対の国民大会が暴動化して日比谷焼打ち事件(1905)が発生しました。

 

このとき、政府は戒厳令を発して軍隊にも首都の治安維持を行わせました。

 

 

山中 裕典

河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校

講師

※本連載は、山中裕典氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる日本史

大人の教養 面白いほどわかる日本史

山中 裕典

KADOKAWA

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