(※写真はイメージです/PIXTA)

19世紀後半、朝鮮をめぐって勃発した日清戦争。この戦いに勝利した日本は、「下関条約」により清から遼東半島、台湾、澎湖諸島を譲渡されました。しかし、これを良く思わなかったのがロシア。フランスとドイツを誘い、日本に外交圧力をかけたのでした。『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)著者で有名予備校講師の山中裕典氏が、日清戦争に焦点をあてて、その当時の日本と諸外国の歴史を解説します。

親日派vs.親清派で「2度のクーデタ」が起きた朝鮮

近代化を目指す「親日派」と伝統を維持したい「新清派」が対立し「壬午軍乱」に

日朝修好条規で開国したのちの朝鮮の状況を見てみましょう。閔妃[びんひ](国王高宗の王妃)・閔氏一族(外戚)の政権は、近代化をめざす親日・改革派と協力しましたが、伝統を維持したい親清・保守派は大院君(高宗の父)に接近し、軍の近代化に不満な旧軍隊兵士とともにクーデタを起こしました(壬午軍乱 1882)。

 

清は軍隊で鎮圧し、朝鮮へ宗主権を発動しました。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表1]日朝関係史(1)(1876~82)出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋

 

親日派に協力していた閔妃・閔氏らが新清派に転向…怒った親日派が政権打倒を図る

のち、閔妃・閔氏一族の政権が保守派に転じて清に接近すると(事大党政権)、孤立した改革派(親日)の金玉均独立党が日本の援助を受け政権打倒を図りました(甲申事変 1884)。

 

このときも清は軍隊で鎮圧し、日清関係が悪化すると、天津条約(1885)が結ばれて日本と清は朝鮮から撤兵しました。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表2]日朝関係史(2)(1882~85) 出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋

 

甲申事変後、日本では個人よりも国家を重視する「国権論」が台頭

福沢諭吉は、新聞『時事新報』の社説で「脱亜論」を発表しました(1885)。福沢は改革派の独立党を支援し、「アジアが近代化して欧米に対抗するべき」と唱えていましたが、甲申事変を機に「日本はアジアを脱し、欧米と同じ姿勢でアジアと接するべき(=アジア分割)」と主張したのです。

 

また、民権派の大井憲太郎らが朝鮮の親清・保守政権打倒を図ったのが大阪事件です。こうして、日本の外国に対する権利を重視する国権論が台頭しました

 

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※本連載は、山中裕典氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる日本史

大人の教養 面白いほどわかる日本史

山中 裕典

KADOKAWA

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