「税負担の軽減」はされるが「節税」にならない?
企業版ふるさと納税には、前述のように、その年度の税負担が90%程度軽減されるという効果があります。しかし、「節税」の効果はありません。
どういうことなのか、個人向けのふるさと納税と比較しながら解説します。
個人向けふるさと納税では「節税」を「何もしない場合よりも経済的にプラスになること」と広くとらえれば、節税効果があると考えることができます。
すなわち、「2,000円を自己負担する代わりに、自分が欲しいもの(返礼品)を手に入れることができる」というメリットがあります。厳密に「節税」といえるかどうかは別として、返礼品の市場価値が2,000円よりも高いのであれば、その差額分だけトクをしたと考えることができるのです。
一方、企業版ふるさと納税の場合、これらのようなメリットがありません。
どういうことかというと、前述のように、企業版ふるさと納税では、「寄付金額の全額の損金算入」と、「税額控除」(60%)の大きく分けて2つの税負担軽減効果を受けられます。
法人実効税率30%とすると、たとえば1,000万円を寄付したら900万円が返ってくるという計算になります。お金の収支をみると、企業版ふるさと納税を行うことで、差し引き100万円が「マイナス」になるということです。
個人版ふるさと納税と異なり、自己負担額(上記のケースでは100万円)の見返りに返礼品を受け取ることができません。つまり、「節税」の意味を広くとらえたとしても、個人のふるさと納税のようなメリットは見出せないということです。
企業版ふるさと納税で考えるべき「真のメリット」とは?
では、企業版ふるさと納税のメリットはまったくないのかというと、そうではありません。直ちに金銭的に評価できない「無形」のものではありますが、以下の3つのメリットが考えられます。
・社名が自治体のHP等で公表される
・社会貢献を行っていることのアピールできる
・寄付先の自治体との関係構築のきっかけになる
これらは、企業のイメージアップにつながります。寄付先の自治体の域内ではもちろん、社会貢献を行っているということを広くアピールできます。
また、将来、寄付先の自治体の域内で事業展開を行うことを考えているならば、プラスにはたらくことこそあれ、マイナスになることは考えにくいといえます。
つまり、自己負担額については「広告宣伝費」に代わるものと考えることができます。
企業版ふるさと納税は、寄付額についての税負担軽減効果があるものの、単純な収支計算上は「寄付額の10%程度」がマイナスとなります。したがって、そのメリットは「節税」等といった金額で直ちに推し量れるものではありません。
企業版ふるさと納税の活用を検討するのであれば、メリットがあくまでも「無形」のものであることを理解しておく必要があるといえます。そのうえで、長期的にみて自社にメリットがあるのか、慎重に検討することをおすすめします。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ 共同代表
公認会計士
税理士
\3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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