社長「今期は、前期の10%アップだ!」←この経営目標では売上が上がらないワケ【経営コンサルが解説】

社長「今期は、前期の10%アップだ!」←この経営目標では売上が上がらないワケ【経営コンサルが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者なら誰でも、会社の売上を上げるために日々試行錯誤を繰り返しているでしょう。そのようななかでもし、「いろいろ取り組みはしているが、思ったように売上が上がらない」という場合、なにか見逃している点があることも多いと、仕組み経営株式会社の取締役・清水直樹氏はいいます。本記事では、売上を上げるための具体的な方法について詳しく解説します。

顧客数を増やす

まず顧客数を増やすことについて考えてみましょう。最初にいっておきますが、売上を上げるにあたって、これが1番お金もかかるし、大変な方法です。もっと楽に、お金をかけずに売上を上げたいと思ったら、後述する単価を上げる、購買頻度を高める、からスタートしたほうがよいでしょう。とはいえ、顧客数を増やすことも持続成長のためには必須の活動ですので、その方法を見ていきましょう。

 

顧客数を増やしたいと思った際、ファネルを意識することが欠かせません。すべての顧客はいきなり商品を買うのではなく、資料請求したり、試したり、営業から話を聞いたりと、さまざまなステップを踏んで購入の決断をします。購入の決断までの流れを図示したものがファネルです。ファネルの設計の仕方は各社毎に異なるため、独自に設計する必要があります。以下の図表4はファネルの例になります。

※顧客が商品を認知してから購入に至るまでの行動ステップを図式化したもの

 

[図表4]集客ファネル

 

ファネルを見てみると、顧客数を増やすには、2つの方法があることがわかります。1つめは、ファネルの上から入ってくる数(潜在顧客)を増やすことです。2つめはファネルの各ステップの成約率を上げることです。

 

潜在顧客を増やすには多くの場合、現金がかかります。一方、成約率の改善はお金をかけずにできることが多いです。そのため、まずは成約率を十分に満足できる状態にし、その後にお金を使って潜在顧客を増やすようにしましょう。逆の順序で行うと、ザルに水を入れている状態になり、投資効果が悪くなります。

 

1.成約率を上げる

成約率を上げる方法は、ファネルの作り方やどのような営業方法をしているのか(営業担当者が訪問しているのか、ダイレクトメールを送っているのか等)によって、異なります。ただ、どんな場合においても、大切なのは以下のような点です。自社に当てはめて実行できているかどうか見てみてください。

 

ボトルネックから手を付ける

ボトルネックとは、ファネル全体の成果を決定してしまっている点のことを指します。たとえばウェブサイトへのアクセスが10万件、資料請求が1,000件、商談が4件、成約が2件という実績が出ている場合を考えてみましょう。この場合、ボトルネックはどこでしょうか? 

 

おそらく、資料請求から商談への成約率がボトルネックです。資料請求1,000件につき、商談4件なので成約率が0.4%と低いです。これだけ低いということは改善点がたくさんあるはずです。まずそこから手を付けましょう。0.4%の成約率が1%になっただけでも、成約は5件に増える計算になります。

 

訴求が潜在(見込み)顧客の心に刺さっているか確認

自社のウェブサイトやチラシなどで訴求している点が、実は潜在(見込み)顧客の心に刺さっていない可能性もあります。たとえば、自社のウリは品質だと考え、ウェブサイトやチラシで品質がよいことを謳っていたとします。しかし顧客が求めているのは品質はもとより、対応スピードである可能性もあります。どんな訴求が刺さるかは正確にはテストを繰り返して決め込んでいきます。

 

緊急性を持たせているか確認

緊急性は成約率を高める鉄板の方法です。いい方を変えれば「なぜいま行動しなくてはいけないのか?」を伝えられているか確認しましょう。

 

次のステップを明確に提示しているか確認

たとえば、潜在顧客に資料を送った際「次になにをしてほしいのか?」を明確に伝えていますか? 資料に電話番号やメールアドレスを載せておけばいいだろう、と考えていませんか? 

 

資料をみてよっぽど興味がある人なら電話やメールをするかもしれませんが、ちょっと興味がある程度の人はしないものです。そのため、次にどうしてほしいのかを明確に伝えます。たとえば、申し込み書を送ってほしいのか、デモを見てほしいのか、等々です。

 

人によってばらつきがないか確認

これはどちらかというと組織(やり切る力)の話になりますが、担当する人によって成約率にバラつきがある状態は見逃せません。たとえば、商談の成約率が60%の営業マンがいたとしても、もう1人の営業マンが10%しか成約していなければ、平均で35%の成約率になってしまいます。本当は60%で決まる商品力があるにも関わらず、これはもったいないことです。

 

未来像を伝えているか確認

顧客は商品を買うことによって、自分の人生に何かしらよいことが起こることを期待しています。そのため「バラ色の未来」を魅せて上げる必要があります。これはファネルの上から下まで常に意識しておかないといけないことです。

 

2.潜在顧客を増やす

潜在顧客とは、あなたの会社の商品に興味があるはずだが、そのことにまだ気が付いていない、または、まだあなたの会社のことを知らない人たちのことを指します。よっぽどの大企業であっても、対象顧客をすべて獲得しつくした、という会社は無いはずです。したがって、どんな会社でも潜在顧客が存在することになります。

 

顧客数を増やすには、この潜在顧客にアプローチをし、自社を知ってもらい、商品に興味を持ってもらい、成約につなげる、という活動が必要になります。潜在顧客へのアプローチは業界によってそれこそ無限の打ち手があるのでここですべてを書くことは難しいですが、大きく分けると2つのタイプがあります。

 

1つは、インバウンド(潜在顧客のほうからあなたを探しに来てもらう方法)。店舗の看板、駅の看板、ウェブサイト、紹介制度などがあります。

 

もう1つは、アウトバウンド(こちらから積極的に潜在顧客にアプローチする方法)。広告、ダイレクトメール、チラシ、展示会、コールドコール(テレアポ)などがあります。

 

いま現在、どんなに強固な顧客基盤を持っている会社であっても、既存顧客は時間が経つにつれ減っていきます。それはあなたの会社の商品に満足できなくなった、というだけではなく、ライフステージが変わって商品が必要なくなった、引っ越しして通えなくなった、死亡した(倒産した)など、自社ではコントロールできない要因であることも多いのです。

 

なので潜在顧客へのアプローチは継続して行っていかないと、いずれ自社は衰退へ向かうことになります。

 

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