(写真はイメージです/PIXTA)

2023年9月のASEAN主要6ヵ国の貿易統計を見ると、減少幅は縮小したものの、輸出は7ヵ月連続の前年割れとなりました。本稿ではニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏が、ASEAN各国の貿易統計を基にASEAN主要6ヵ国の貿易状況と今後の見通しについて解説します。

シンガポール

シンガポールの9月の輸出額(石油と再輸出除く、通関ベース、ドル換算)は前年同月比10.0%減(前月:同20.6%減)の103億ドルとなり、マイナス幅が縮小したものの、13カ月連続の前年割れとなった(図表11)。

 

輸出の基調は昨年半ばまで世界的な電子製品の需要拡大や石油製品の価格上昇により増加傾向が続いたが、その後は電子製品、非電子製品が振るわず減少している。

 

総輸出額は同9.5%減(前月:同13.3%減)の400億ドル、総輸入額が8.5%減(前月:同13.6%減)の361億ドルとなり、それぞれ減少した。結果として、貿易収支は+39.0億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から7.0億ドル拡大した。

 

輸出(石油と再輸出除く)を品目別にみると、まず全体の約2割を占める電子製品は同8.3%減(前月:同19.2%減)と14カ月連続の減少となったものの、マイナス幅が縮小した(図表12)。

 

電子製品の内訳を見ると、PC(同30.7%減)は大幅な減少が続いた一方、主力のIC(同13.1%減)とディスクメディア(同2.6%減)はマイナス幅が縮小した。

 

また全体の約3割を占める化学品も同16.5%減(前月:同20.4%減)となり5カ月連続で減少した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同11.7%減)と医薬品(同28.7%減)がそれぞれ低迷した。

 

 

フィリピン

フィリピンの9月の輸出額(通関ベース)は前年同月比6.3%減(前月:同4.2%増)の67億ドルとなり2ヵ月ぶりに減少した(図表13)。

 

輸出の基調は今年5月以降、電子製品の需要が持ち直して増加に転じつつあるが、9月は前年同月の輸出が好調だったため再び減少した。また輸入額は前年同月比14.7%減(前月:同13.0%減)の102億ドルとなり11カ月連続の前年割れとなった。

 

結果として、貿易収支は▲35.1億ドルの赤字となり、赤字幅が前月から6.2億ドル縮小した。

 

輸出シェア上位10品目をみると、まず輸出全体の6割近くを占める電子製品が同9.4%減(前月:同5.9%増)となり、5ヵ月ぶりに減少した(図表14)。

 

電気製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同27.2%減)が低迷したほか、主力の半導体デバイス(同7.7%減)が再び減少した。

 

その他9品目については金(同72.6%増)と化学品(同66.4%増)、機械・輸送用機器(同17.2%増)、精錬銅(同14.1%増)が増加したものの、その他製造品(同15.1%減)とその他鉱業品(同11.4%減)、イグニッションワイヤーセット(同5.7%減)、電子機器・部品(同4.9%減)、金属部品(同3.8%減)が減少するなど、減少した品目が多かった。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月7日に公開したレポートを転載したものです。

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