天涯孤独の従兄が入院、口頭で「全財産をあげる」と…
相談内容
先日、親しくしていた従兄が亡くなりました。従兄は生涯独身で、法定相続人となる親きょうだいもいません。
従兄が入院した際「僕の最期は頼む」と手を握り、「銀行の預金も自宅も全部あげる」と口頭でいわれましたが、その後容態が急変し、すぐ亡くなってしまいました。
私の立場で、従兄の遺産を相続することは可能ですか?
家庭裁判所に「特別縁故者の申立て」をして判断を仰ぐ
回 答
この事例は「相続人不存在」のケースと考えられます。
民法上の相続人も包括受遺者もいない場合、相続財産は「相続財産法人」になるとされています。
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
この場合、特別縁故者の申立てなどを亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所などにするほかありません。
前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
前項の請求は、第952条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
生前、相談者と従兄の間に、介護や特別の縁故があったと認定されれば、特別縁故者としての財産の相続を認めるか否か、相続財産の全部または一部だけ相続させるのか家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。
そして、特別縁故者不在、あるいは特別縁故者へ相続したあとでも、財産が残っていれば国庫に納められます。
なお、相続財産清算人は弁護士や司法書士が家庭裁判所から選任されることが多いです。
相続財産があまりないと見込まれる場合、これらの専門職の報酬及び何かあったときのための保証金等として、予納金を納める必要があります。
予納金は数10万~100万弱程度を裁判所から求められる事もあるため、相続財産が少ない場合、実務ではあまり用いられていないのが現状と思われます。
※本件は業務上の経験と個人的な見解とに基づき記載しておりますので、内容の正確性、法的整合性等ついては一切の保証をできかねます。各相続のケースでは各専門家の指導の下、個別具体的な判断お願い致します。
近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士
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