(画像はイメージです/PIXTA)

不動産を相続したものの、売却を希望しているという人は少なくありません。しかし、一般の方の場合、不動産の売却には不慣れであり、どこから着手すべきか、また、なにに注意すべきかわからないと思われます。ここでは、不動産売却を不動産業者に依頼する基本的な方法について見ていきます。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

不動産売却時、まず最初に行うのは「業者による価格査定」

生徒:80代の母が亡くなり、うちにも相続が発生しました。私は空き家になった実家を相続したのですが、手放したいと思っています。不動産の売却はどのように進めたらいいのでしょうか?

 

先生:不動産の売却時に必ず行うのが、「不動産業者による価格査定」です。不動産の価格は、取得したときからの経過年数や、建物の状況によって変わります。これは不動産業者が買主探しを行う場合に、概ね3ヵ月以内に買主が決まる見込みの価格となっています。

 

生徒:査定される価格は、どのように計算されているのでしょうか?

 

先生:不動産の査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定とは、周辺の標準的な相場や成約事例に基づいて、売却しようとする物件の価格を推測します。これを「取引事例比較法」といいます。一方の訪問査定は、机上査定の価格をさらに正確にするもので、実際に家屋や土地の現地調査を行って、価格を推測する方法です。

 

生徒:どのような状態だと、査定価格が高くなるのでしょうか?

 

先生:価格がプラスに評価されるポイントがいくつかあります。土地の場合、例えば、駅からの距離が近いこと、角地であること、南面道路に接していること、整形地であること、綺麗な街並みであること、などによって価格がプラスになります。「その立地なら住みたい」と思う人が多いと見込まれる不動産がいいのです。

 

生徒:取引事例比較法は、どのように計算されるのでしょうか。

 

先生:例えば、査定される物件の近くの100m2の土地が、最近5,000万円で成約していたとしましょう。その場合、1平方メートルの単価は50万円です。これに、駅からの距離、角地かどうか、道路にどのように接しているか、整形地かどうかなどいくつかのポイントを加算・減算、最終的に査定価格を決めます。査定される物件が80m2であれば、査定価格は50万円×80m2で4,000万円と評価されます。

仲介手数料や費用の目安は?

生徒:実際に売却する場合は、不動産業者にお願いすることになりますが、仲介手数料や費用はどれくらいかかるのでしょうか?

 

先生:仲介手数料は、不動産取引が成立したときに不動産業者へ支払うことになります。仲介手数料は、400万円超の成約価格の場合に、(売買価格×3%+6万円)に消費税を加えた金額となります。仮に4,000万円で成約した場合、次のような計算となります。

 

(4,000万円 × 3% + 6万円) × (1+10%) = 1,386,000円

 

生徒:なかなかの金額ですね…!

 

先生:それ以外にも、契約時には印紙代、ローンの一括繰り上げがあれば返済手数料や、抵当権の抹消登記費用がかかります。あと、土地の測量費用は売主が負担しますし、粗大ごみの回収費用、家屋の解体費用を売主が負担する場合もあります。

不動産売却の流れ…

生徒:私の実家は中野区にある一軒家です。どこの不動産業者に仲介を依頼すればよいでしょうか?

 

先生:不動産の売却において最も重要なことは、不動産業者の選び方です。ここで今後の運命が決まるといっても過言ではありません。複数の不動産業者と会って話を聞いてみるべきなのですが、一括査定サイトを利用すると、大手から中小まで複数の不動産業者へ一斉に問い合わせることができます。

 

生徒:査定価格は不動産業者によって違うのでしょうか?

 

先生:査定価格は、どこの不動産業者に出してもらっても大きく変わりません。しかし、著しく高い査定価格を出してくる不動産業者には注意すべきでしょう。不動産業者のなかには、仲介の仕事がほしいがために、高めの査定価格を出してくるところがあるので要注意です。しかし、提示された査定価格通りに売れるとは限りません。実際の売り出しでは売買価格を下げて売却することもままあります。

 

生徒:では、平均的な査定価格を出してくるところを選べばよいでしょうか?

 

先生:不動産業者には2つのタイプがあります。1つは士業系の宅建業者、もう1つが一般の宅建業者です。税理士や司法書士が経営する士業系の宅建業者は、相続時の相続登記、相続税申告や売却時の所得税申告までセットでやってくれます。士業系の宅建業者を1社、平均値に近い査定価格を出してきた一般の宅建業者を1社選択し、面談の予約を入れるとよいでしょう。店舗に行くことで不動産業者の雰囲気、担当者の人柄や能力などから、信頼できる不動産会社かどうかがわかると思います。

 

生徒:税理士や司法書士の先生が宅建業を営んでいるのですね。知りませんでした。不動産業者と面談したら、すぐに契約しなければいけないのでしょうか?

 

先生:いいえ。契約する前に訪問査定を実施します。営業担当者が対象の不動産の現地を訪問し、図面ではわからない状況、例えば、日当たり、建物の状況、内装の傷み具合を確認します。3日後くらいに査定した結果を出してくるでしょう。

 

生徒:査定価格に同意できたときはどうするのでしょうか?

 

先生:査定価格に基づいて、売出し価格を決めます。ここで考えなければならないのは、売却を実現するまでの時間です。長い時間をかけられる場合は、査定価格より高めに設定して高値での売却に挑戦します。逆に、相続税の納税のために現金化を急いでいる、譲渡所得の損益通算のために年末までに譲渡所得を確定させたいといった場合は、査定価格と同じか、それより下げて売り出しを行います。

買主の候補者から「購入したい」と連絡があったときは?

生徒:不動産業者は、どうやって買主を見つけるのでしょうか?

 

先生:買主には2種類あります。一般の方か、不動産業者です。不動産業者というのは仲介ではなく買取りを行うところです。この詳細は、別の記事に譲りましょう。

 

生徒:買主の候補者から連絡があったときはどうすればいいでしょうか?

 

先生:「購入を検討したい」という連絡があったら、不動産業者が内見の立会いを行います。買主が決まるまで内見は続きますよ。

売買の手続き…「契約・引渡し・決済」までの流れ

生徒:買主が決まると、売買の手続きですよね。どのように手続きを進めるのでしょうか?

 

先生:買主が決まったら、不動産売買契約を締結します。契約時には、買主と売主が対面して手続きを進めることが一般的です。契約締結時に、買主は売主に対して手付金を支払います。通常は売買価格の10%ですね。また、売主は仲介手数料の一部を不動産業者に支払います。

 

生徒:仲介手数料は契約時と決済時の2回に分けて支払うのですね。

 

先生:契約→引渡し→決済まで、通常は1ヵ月くらいの期間をとります。その後は、引越し業者・クリーニング業者の手配、電気・ガス・水道の休止手続きなど、引き渡しに向けて準備を行います。住宅ローンがある場合は、金融機関で繰り上げ返済の手続きをすませておきます。

 

生徒:契約から1ヵ月後に引渡し・決済ですね。どのような手続きを行うのですか?

 

先生:買主が銀行借入れを行う場合、借入れを行う金融機関の応接室を借りて、不動産業者の営業担当者と買主側の司法書士の立会いのもとで、売主と買主が手続きを行います。そこで、買主は、手付金を差し引いた残金を売主の預金口座へ振込みます。確認できれば、司法書士がすぐに所有権移転登記の申請を行います。また、売主は鍵を引渡します。最後に、売主は仲介手数料の残金を不動産業者に支払うことになりますね。

 

生徒:よくわかりました。ありがとうございます。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

★不動産売却を不動産業者に依頼する方法についてはこちらをチェック!

「不動産売却の手引き」業者選びから査定までの完全ガイド

 

★不動産の評価についてはこちらをチェック

【不動産の評価額】土地の路線価方式から建物の固定資産税評価額まで解説!【FP3級】

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