(画像はイメージです/PIXTA)

相続発生時、相続人が対処に悩むものに、故人のクレジットカードや免許証があります。いずれも悪用のリスクを回避するため、慎重な対応が求められます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

父亡きあとの「父名義のクレジットカード」、使ってもOK?

70代の父が亡くなりました。葬儀は無事に終わりましたが、まだまだ残っている手続きが多く、目が回りそうな忙しさです。質問したいのは、父が保有していたクレジットカードについてです。父亡きあとも普通に利用できるため、日常の細かい支払いなどに何度か利用しています。これは問題がありますか? ちなみに母もきょうだいもなく、相続人は私ひとりです。

 

東京都武蔵野市 40代 会社員

 

クレジットカードは、保有者が亡くなるとカード会社との契約が終了となり、カード自体が無効となります。しかし、遺族がカード会社に連絡をしなければ、カード会社は保有者が亡くなったことを把握できないため、カードは有効なままになってしまいます。

 

しかし、利用停止にならないからといって、遺族がそのままクレジットカードを使うことはカード規約違反となります。

 

それ以前に、所有者が亡くなったあともクレジットカードを放置すれば、年会費が引き落とされますし、盗難されれば不正使用されるという、重大なリスクもはらんでいます。

 

そのため、クレジットカードは亡くなった保有者に代わり、遺族が解約する必要があるのです。

 

クレジットカード解約手続きは、基本的には電話だけで完了します。ですが、遺族が本人に代わって解約するため、死亡診断書か死亡後に取得した戸籍謄本の写しの送付を求められる場合もあります。

 

◆クレジットカードの未払金は「債務控除」できる

もし、亡くなった保有者にクレジットカードの未払いがあった場合は、クレジットカードの未払いは「債務」として相続人に支払い義務が発生します。

 

その場合、通常は相続発生後に残額の一括支払いをカード会社から求められます。手続きが遅れると、カード会社によっては遅延損害金がかかってしまう場合もあるため、なるべく早く解約手続きをする必要があります。

 

クレジットカードの未払い金を支払った場合は、相続税の計算の際に相続財産の総額から控除することが認められているため、相続税を減らす効果があります。

 

なお、クレジットカードに貯まっているポイントは相続できません。カード会社の規約で、契約者が死亡した場合はポイントを喪失する旨を規定しているためです。

 

しかし、マイルについては一定期間内に手続きをおこなえば相続することができます。詳しくは、各航空会社のサイトを確認してみてください。

亡くなった父の免許証、手元に残しておきたいが…法的にOK?

まだ60代の父が急死しました。父は車が好きな人で、家族をいつもドライブに連れていってくれました。手続き上、免許証も返納しなければならないのだと思いますが、大好きな父の写真がついた免許証を手放すのがつらく、できれば手元に置いておきたいのです。しかし、罰則などがあるのではないかと心配です。

 

東京都府中市 30代 公務員

 

亡くなった方の運転免許証は、法律上の返納義務はありません。そのため、返納手続きしなかったからといってペナルティがあるわけではなく、有効期限が残っていた場合は、更新のお知らせが来る程度です。

 

しかし、免許証は、一般的に身分証明書としても使用されているため、もし盗難されたら悪用されるリスクがあります。そのことから、返納が望ましいでしょう。

 

ちなみに、免許の自主返納の際、免許証の代わりとなる身分証明書として「運転経歴証明書」を交付してもらうことがあります。こちらには有効期限がないため、悪用されるリスクを防ぐためにも、返納手続きをしたほうがいいでしょう。

 

しかし、相談者の方のように、故人の写真の入った免許証を返納してしまうのはつらい、遺品として手元に持っておきたい、という方もいると思います。そのような場合は、返納手続きの際に遺族が希望すれば、免許証にパンチ穴を開け、無効とわかる状態にしたうえで、手元に残しておくことができます。

 

きちんと返納手続きをしたうえで、悪用されない状態で免許証を残しておきましょう。

◆「運転免許証返納届」の書き方と提出先

運転免許証の返納手続きは、各都道府県の警察署か、運転免許センターで手続きをおこなうことができます。

 

返納手続きには、

 

●亡くなった方の免許証

 

●免許証の持ち主が亡くなったことがわかる書類(死亡診断書の写し、住民票の写し、死亡後に取得した戸籍謄本の写しなど)

 

●申請人の身分証明書と認印

 

が必要となります。

 

これらの必要書類を手続場所に持参したうえで、運転免許証返納届に必要事項を記入することになります。運転免許証返納届には返納の理由を書く欄がありますが、そちらには「免許保有者の死亡のため」と記入すればよいでしょう。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

★亡くなった方の運転免許証やクレジットカードの手続きについてはこちらをチェック

亡くなった方の運転免許証やクレジットカードを返納しないとどうなる? 手続き方法も併せて解説

 

★人が亡くなったときの保険証の手続きについてはこちらをチェック

健康保険証の資格喪失 亡くなった時の対処法とは?慌てる前にやり方を確認!

 

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