(※写真はイメージです/PIXTA)

『元国税専門官がこっそり教えるあなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)著者の小林義崇氏は、国税専門官時代、相続税調査のときに「必ず聞いていた質問」があるといいます。また相続人にその質問を投げかけると、怪訝な顔をする相続人も多かったそうです。その質問とはいったいなんなのか、またなぜその質問を“必ず”聞いていたのか、詳しくみていきましょう。

国税職員が富裕層に必ず趣味を聞くワケ

あるとき、相続税の申告書をチェックしていた際、「家庭用財産」として1,000万円近い金額が計上されていました。

 

家庭用財産とは、家具や家財などを指し、普通は数十万円くらいに収まります。そこで申告書の添付資料をチェックしたところ、その家庭用財産の多くは数点の高級時計であることがわかりました。おそらく、亡くなった被相続人は時計集めが趣味だったのでしょう。

 

高級ブランドの時計は信頼感アップにつながるだけでなく、中古品でも高値で換金できるので、投資の意味合いも兼ねられます。

 

ちなみに私も近ごろ、少額のものですがアート作品を買うようになりました。アーティストの支援になるうえに所有欲が満たされ、将来的に資産価値が出る可能性もゼロではないので、悪くないお金の使い方だと思っています。

 

このように、故人の趣味がときに相続税申告に影響することがあります。そのため、私が相続税調査をするときは、必ず「お亡くなりになった被相続人の趣味は?」ということを聞いていました。

 

このようなことを税務署員に聞かれると、やはり怪訝な顔をされる相続人が多かったです。「どうしてそんなことを聞くのですか?」「相続税と関係あるんでしょうか?」といった反応もしばしばありました。

 

前述のとおり、相続税と趣味は関連することが少なくありません。わかりやすいものとして、「投資が趣味」というケースが挙げられます。

 

投資が趣味なのに、相続税の申告書に金融資産が記載されていなければ奇妙です。そのような場合、申告を漏らした株式や投資信託などがあるかもしれませんから、あらためて証券会社などを調査することになります。

 

「趣味で、よく海外旅行していた」というケースも国税職員にとっては気になる情報です。これも、富裕層は積極的に海外投資をする傾向にあるので、海外に相続財産を隠しているかもしれません。

 

このような推測をもとに、「海外に財産を残していないか」「国外への送金履歴を調べよう」というように調査方針を決めていきます。

 

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※本連載は、小林義崇氏による著書『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

小林 義崇

ダイヤモンド社

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