専業主婦が数千万円単位で…“ケタが違う”富裕層のへそくり
私が新人の税務職員の頃、ベテラン職員から「コバちゃんの調査事案、ちょっと資料を見せて」といわれて渡したところ、「奥さんの預金が怪しい」と鋭い指摘をされたことがあります。亡くなった夫が多額の収入を得ており、妻は無職の専業主婦だったことに目をつけたのです。過去の申告状況を見ても、妻のほうに多額の収入は見込めません。
そして税務調査をしたところ、妻が数千万円単位の多額のへそくりを抱えていたことがわかりました。これが後に相続税の追徴課税につながったのです。
富裕層は家計の管理を家族に任せているケースが多いため、こうした多額のへそくりが生まれやすいです。
野村證券によるへそくりに関するアンケートを見ると、男女ともに半数以上が「へそくりがある」と回答していました。
とくに女性のほうがへそくりを貯めている割合が高く、なかには1000万円を超える金額の人も少なくありません。
富裕層でも多い税務調査での「へそくり」発覚
富裕層の家庭の場合、やはりへそくりの金額が大きくなりがちです。もちろん、「へそくりはありますか?」などとダイレクトに尋ねるわけではないのですが、亡くなった人やその家族の預金口座の動きなどを追うと、やがてへそくりの存在にたどり着くことがあります。
たとえば、生活費が月30万円程度なのに毎月100万円を自由に使える状態になっていたら、毎年840万円の余剰資金が生まれます。ここに、多額のへそくりの原資があるわけです。
家族といえども、財産の名義を曖昧にしてはいけない
へそくりは「名義預金」とみなされ、相続税がかかる
へそくりのように、一見すると亡くなった被相続人の財産ではないけれども、「実質的には相続財産だ」と判断される預金を「名義預金」といいます。相続税のルールでは、家族名義の現預金であっても、名義預金として相続税がかかることがあります。
私も以前、専業主婦の相続人に数千万円単位の預金があることを発見したことがあります。その後、調査を重ねて、名義預金と判断したのですが、「このお金は、私が節約をして貯めたものだから、相続財産じゃない!」と、とても強い反発を受けました。
しかし、その気持ちは理解しつつも、さまざまな事実に基づき検証し、追徴税を課すことになったのです。
税務署から名義預金を指摘されないようにするには、まずは家族といえども、財産の名義を曖昧にしないことです。「夫の財産は夫名義、妻の財産は妻名義」というふうに分けておくことが大切です。
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