「失われた30年」からの脱出…企業・個人レベルで“明日から実践可能”な「稼げる国・日本」のつくりかた【知財活用のプロが解説】

「失われた30年」からの脱出…企業・個人レベルで“明日から実践可能”な「稼げる国・日本」のつくりかた【知財活用のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「失われた30年」という言葉があるように、日本は長らく不景気が続いてきました。しかし、『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』著者の鈴木健二郎氏は、国の政策に依存したり経済環境の好転を待ったりするまでもなく、日本が「稼ぐ国」になるために企業レベル・個人レベルで実践できる手法があるといいます。それはいったいなんなのか、詳しくみていきましょう。

「知財ミックス」を最大限に活かす5つの行動

実践行動①~「未来の社会・顧客の課題・ニーズ」を設定する~

未来の社会・顧客の課題・ニーズを正しく把握し、何が価値になるのかを正しく予測すること。

 

受験戦争の弊害からか、日本人は与えられた正解のある問題を解くことは得意ですが、課題・ニーズから正解のない問題を自分でつくって解きに行くのは苦手です。

 

だからこそ、その部分から訓練することが求められます。学歴や職歴も関係ありません。誰にでもできる訓練です。

 

実践行動②~「収益」を生み出す仕組みをデザインする~

社会・顧客への提供による収益化を見据え、ビジネスモデルとして組み立てること。

 

売上・利益目標を設定し、達成するための成立条件(いつ、誰に、何を、どこで、どのように、いくらで)を明確化します。その上で、どうしたら稼ぐ仕組みを確立することができるかを考えて徹底的にデザインし、その仕組みが確立するまで粘り強くやり切ることが大事です。

 

稼ぐことは汚いことでもいやらしいことでもありません。また、稼ぐ仕組みがしっかりしていれば、お金を出して応援してくれるスポンサーも現れるでしょう。いくら良い知財を持っていても、それが稼ぐ仕組みになっていなければ、お金の出し手はいないのです。

 

実践行動③~内外の技術やアイデアを資産として見える化する~

ビジネスモデルを成立させる革新的な技術やアイデアなどの知財を幅広く集めて、ビジネスモデルにつながるように正しく結合させること。

 

知財の結合のさせ方が革新的で、会社の先輩や同僚が築き上げてきたルールや常識と異なっていても恐れてはいけません。

 

バックキャスティングから生まれた常識外れなアイデアほど反対されるものです。それを恐れると思考停止になり、せっかく良いものを持っていても価値に変換できなかった歴史を繰り返すことになってしまいます。

 

実践行動④~パートナーとの積極的な共創により、知財のパワーを増強する~

ビジネスモデルを成立させるのに必要な知財のうち、自分で持ち合わせていないものがあれば、それを持っている人(企業、研究機関、研究者など)に恐れずにリーチし、その人との共創により不足している構成要素を獲得・補完しに行くこと。

 

オープンイノベーションによる「共創」が大事であって、決して「侵略」に行くのではありません。

 

ご自身が着目した未来の社会・顧客の課題・ニーズを信じて、変えたい未来について社外の人にしっかり共有しながら、共創の提案を進めてみてください。

 

実践行動⑤~リスクを適切に評価し、対応策を周到に打つ~

周到にリスクを抽出してこれを冷静に評価し、適切なリスク対策を打つこと。

 

革新的であればあるほど、社会・顧客に普及・浸透させるのは簡単なことではありません。様々な壁が立ちはだかり、失敗するリスクは当然あります。

 

オープンイノベーションを進めるとしても、信頼していたアライアンス先から裏切られないという保証もありません。いくらチャレンジ精神が重要とはいえ、向こう見ずなギャンブルをすることを勧めているわけではありませんので、打つべき対策はしっかり打っておきましょう

 

有効な手段に、知財の権利化や知財コンソーシアムへの参加などがあります。

 

これら知財ミックスの5つの実践行動を愚直に続けていけば、なかなか変えることが難しい日本人固有の変われない原因を克服し、次の10年は「ドカ貧」からの逆転が狙えることでしょう。

 

 

鈴木健二郎

株式会社テックコンシリエ代表取締役

知財ビジネスプロデューサー

 

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※本連載は、鈴木健二郎氏の著書『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

鈴木 健二郎

ポプラ社

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