(※写真はイメージです/PIXTA)

従業員に残業をさせたら、雇用主である企業は残業代を支払わなければなりません。もし残業代を適切に支払っていない場合、後々訴訟などのトラブルに発展する可能性があります。では、残業代や残業代計算のもととなる基礎賃金は、どのように計算すればよいのでしょうか? Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が詳しく解説します。

残業代支給は会社の「義務」…トラブル時は誠実な対応を

未払い残業代を請求されるなど、残業代の計算に関して従業員や元従業員とのあいだでトラブルとなった場合には、どのように対応すればよいのでしょうか? まず行うべき対応は、次のとおりです。

 

残業の実態を把握する

残業代の支給は、労働基準法で定められた使用者(会社)としての義務です。そのため、仮にこれまで正しく残業代を支払っていなかった場合には、まず残業の実態を把握することが必要です。

 

そのうえで、実際に未払い残業代が発生していた場合には、正しく計算をした残業代をさかのぼって支給しましょう。従業員側の主張が正当なものであるにもかかわらず、不誠実な対応をしてしまうとトラブルが拡大するリスクがあるため、慎重かつ誠実な対応が必要です。

 

なお、残業代の時効は、以前は2年とされていましたが、令和2年(2020年)4月以降は3年とされています。

 

併せて、会社全体での未払い残業代も把握しておくことをおすすめします。なぜなら、1人の従業員からの残業代請求を皮切りに、他の従業員からも未払い残業代を請求される可能性があるためです。

 

早期に弁護士へ相談する

未払い残業代の請求などがなされたら、労使問題に強い弁護士に、早期にご相談ください。従業員側が会社に未払い残業代を請求する際には、すでに弁護士に相談しているケースも多く、会社としても法的に適切な対応をすることが必要です。

 

また、未払いとなっていた残業代を支給しようにも、自社における残業代計算に不安がある場合もあるでしょう。

 

弁護士へ相談することで、そのケースにおける自社がすべき対応について、具体的なアドバイスを受けることができます。また、弁護士へ依頼した場合には、従業員との話し合いの場に同席してもらうことや、代理で交渉してもらうことも可能です。

 

対応を誤ってトラブルを拡大させてしまわないためにも、残業代に関するトラブルが発生したら、早期に弁護士にご相談ください。

 

まとめ

残業代を正しく算定するためには、法内残業と法定時間外労働の区別や割増賃金などについて、正しく理解することが必要です。残業代を適正に支払わず違法状態となってしまわぬよう、残業代を正しく支給する体制を整えておきましょう。

 

残業代を適正に支給しなければ、労働基準法違反となるのみならず、多数の従業員からまとめて残業代請求がなされるなどして、資金繰りに大きな影響が出るリスクも生じます。

 

しかし、自社のみで残業代を正しく計算する仕組みを整えることが難しい場合もあるでしょう。また、すでに従業員から未払い残業代を請求されるなどして、トラブルになっている場合もあるかと思います。

 

そのような際には、早期に弁護士へご相談ください。

 

<参考文献>
※ しっかりマスター労働基準法-割増賃金編:東京労働局(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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