(※写真はイメージです/PIXTA)

従業員に残業をさせたら、雇用主である企業は残業代を支払わなければなりません。もし残業代を適切に支払っていない場合、後々訴訟などのトラブルに発展する可能性があります。では、残業代や残業代計算のもととなる基礎賃金は、どのように計算すればよいのでしょうか? Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が詳しく解説します。

残業代を正しく計算するための「3ステップ」

残業代を正しく算定するためには、次のステップを踏むことが必要です。順を追って解説していきましょう。

 

1.残業時間を正しく把握する

残業代を正しく算定するためには、まず残業時間を正しく把握することが必要です。

 

たとえば、タイムカードを切ってから残業させるような事態が横行している場合には、残業代を正しく算定することは困難です。残業時間の把握に問題がある場合には、まずはそのような現状を改善しましょう。

 

なお、残業代の計算において、1日あたりの残業時間を切り捨てることは認められません。たとえば、「15分未満は切り捨てて、15分以上は30分として切り上げる」などの取り扱いは違法です。1日あたりの残業代は、1分単位で正しく把握しましょう。

 

ただし、1日あたりの残業時間を積み重ねた1ヵ月の残業代は、通算して30分未満を切り捨て、30分以上は切り上げて1時間とするような取り扱いは認められています

 

2.残業時間を区分する

次に、残業時間を、残業代の種別ごとに区分します。区分すべき残業代は、次のとおりです。

 

・法内残業

・時間外労働

・深夜労働

・時間外労働 兼 深夜労働

・休日労働

・休日労働 兼 深夜労働

 

これらはそれぞれ、残業代の割増率が異なるためです。

 

なお、中小企業であっても2023年4月1日以降は、月60時間を超えた分の時間外労働時間についても区分する必要が生じます。

 

3.残業代を算出する

残業時間の区分ができたら、これにそれぞれ割増率を乗じ、残業代を算定します。割増率は、先ほど解説したとおりです。

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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