(※写真はイメージです/PIXTA)

従業員に残業をさせたら、雇用主である企業は残業代を支払わなければなりません。もし残業代を適切に支払っていない場合、後々訴訟などのトラブルに発展する可能性があります。では、残業代や残業代計算のもととなる基礎賃金は、どのように計算すればよいのでしょうか? Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が詳しく解説します。

「1時間あたりの基礎賃金」は月給制と年俸制で異なる

残業代は、次の計算式で算定されます。

 

残業代=1時間あたりの基礎賃金×時間外労働の時間×割増率

 

このうち、時間外労働の時間はタイムカードなどから算定します。また、割増率は先ほど解説したとおりです。

 

では、残業代計算のもととなる「1時間あたりの基礎賃金」は、どのように算定すればよいのでしょうか? それぞれ、次のとおりです。

 

月給制の場合

月給制の場合における1時間あたりの基礎賃金は、次のように算定します。

 

・1時間あたりの基礎賃金=1ヵ月の基礎賃金÷1ヵ月平均所定労働時間

 

1ヵ月の基礎賃金からは、次のものなどは除かれます(労働基準法施行規則21条)

 

・家族手当・扶養手当

・単身赴任手当

・出産手当など臨時の手当

・住居手当・通勤手当(ただし、家族数や距離などによらず一律の金額を支給するものは基礎賃金の計算に含める)

・1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 

また、1ヵ月平均所定労働時間とは、1年間の所定出勤日数に1日あたりの所定労働時間を乗じた数値を、12ヵ月で割ったものです。

 

年俸制の場合

年俸制の場合における1時間あたりの基礎賃金は、次のように算定します。

 

・1時間あたりの基礎賃金=1年間の基礎賃金÷1年あたりの所定労働時間

 

基礎賃金の考え方は、原則として月給制の場合と同じです。ただし、年俸制の場合にはあらかじめ年間の支給額が決まっており、その一部を夏と冬に賞与として支給することなどがしばしば行われています。

 

このような場合における賞与は「1時間当たりの基礎賃金」の計算から除くことができないため注意が必要です。

 

時給制の場合

時給制の場合における「1時間あたりの基礎賃金」は、原則としてその時給となります。
なお、当然ながらパートやアルバイトであっても、残業をしたら残業代を支給しなければなりません。

 

日給制の場合

日給制の場合における「1時間あたりの基礎賃金」は、次のように算定します。

 

・1時間あたりの基礎賃金=1日の基礎賃金÷1日あたりの所定労働時間

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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