裁判所「契約の解除は認めない」…いったいなぜ?
本件の事例は、東京地方裁判所平成21年9月25日判決のケースをモチーフにした事例です。この事例で裁判所は、
と述べて、買主からの手付解除を認めませんでした。
なお、この事例では、契約で確定測量の費用は買主負担とされていたので、買主側は境界確定の作業は「売主による履行の着手ではない」と争いましたが、この点についても裁判所は、
として、売主による履行行為の着手を認めました。
残金決済・引渡期日までの期間も要因のひとつか
ちなみに、この事例は、売主が転居先の建物のリフォーム工事を進めていたという事情や、買主による手付解除がなされたのが、残金決済・引渡期日の9日前であったという事情もあったため、これらの事情も裁判所が結論を考える上で影響をおよぼした可能性があると言えます。
このように、具体的にどのような行為が「履行の着手」に当たるかという点は、本件のような個々の裁判事例を確認して判断していく必要があります。
※この記事は2019年10月8日時点の情報に基づいて書かれています(2023年11月6日再監修済)。
北村 亮典
弁護士
大江・田中・大宅法律事務所
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走