分譲マンション所有者は管理に無関心な人が多い
東京都が2013年におこなったマンション実態調査結果のうち「日常管理の問題」では1位が「マンション管理に無関心な居住者が多い(43.1%)」、2位が「(マンション管理組合の)役員のなり手がいない(32.8%)」、4位が「役員の負担が増大している(18.6%)」となった([図表1])。
一般的にマンションの管理組合の役員は責任や負担が重い。また、管理組合員(役員ではないマンション所有者、以下組合員)の人数が多いほど、組合員間の調整役や意見のとりまとめ役となる役員の負担は増す。マンション所有者が役員になることを嫌がることも十分理解できる。
理事会役員の負担は大きい
マンションの資産価値の維持にはマンションの建物としての適切な管理や修繕が不可欠である。管理についての様々な意思決定は、戸建てのように1棟のマンションが一人の所有である場合はその人がその人の責任で判断すれば良い。
一方、分譲マンションの場合は、大規模修繕の決定や規約の変更などの重要な意思決定に、一定割合以上の所有者の合意が必要である。
一般的な分譲マンションは数十戸から数百戸程度あるため、重要な決定に際しての合意形成には時間を要することが多く、場合によっては合意形成できないこともある。
分譲マンションの場合、マンション所有者の管理組合への加入は義務であり1、マンション管理に関する意思決定は管理組合が行う。管理組合の運営の中心となるのが理事会とその役員であり2、役員(特に理事長)の負担は大きい。
役員の負担の例として、理事会は月1回以上の開催が望ましいが各役員が参加しやすいように休日を割かなければならないこと等が挙げられる。また、特に負担が大きいのが、年1回以上開催しなければならない総会の議事にかけるための大規模修繕計画などを含む修繕計画等やそれに係る収支予算案の作成である。
しかし、こうした負担があるにも関わらず、理事長等の役員は無報酬あるいは寸志程度である場合が多い。役員になる人の不満を平等に分散するために輪番制を取るマンションもあるようだ。
管理組合自体の運営の悩みや困りごとの解決などでも、理事会に負担が集中する。
公益財団法人マンション管理センターによると、2022年度にあった管理組合の運営等に関する相談の相談者属性は、管理組合の関係者からが77.8%、うち組合員が29.3%と最も多く、次いで理事が17.4%、理事長が17.1%であった。ただし、分譲マンションは数十戸から数百戸の住戸からなるコミュニティであり、1棟のマンションに理事長は1人であるから、組合員からの問い合わせは母数から見ると少ないと言えよう([図表2])。
1 区分所有法第3条
2 理事長、副理事長、監事、理事などの役職がある