建築費上昇を価格転嫁できる可能性が高い東京都心部のマンション用地購入が増加
[図表4]はMSCIリアルキャピタル・アナリティクスの公表から、関東圏内における2022年と2023年に取引されたマンション用地の立地を示したものである。2022年に取引されたマンション用地は神奈川県伊勢原市、埼玉県草加市、茨城県水戸市などの郊外部を含め、広く分布している。
しかし2023年に取引されたマンション用地は東京23区へ集積している。デベロッパーは、建築費の増加を価格に転嫁しやすい東京都心部へ投資を集中させている。
今後も、東京都心部へのマンション集積は高まる
デベロッパーのマンション用地取得額は依然として減少傾向で、新築マンション供給は今後一層少なくなる見通しは変わらない。2023年の用地取得状況から、2025年頃に供給されるマンションは東京23区の高価格帯マンションが中心となり、首都圏新築マンションの平均発売価格は高値水準での推移が続くと考える。
首都圏新築マンションの供給戸数の減少が高値水準の維持に貢献するだろうが、それでも需要の減少に対応しきれない場合は販売開始から完売までの期間が伸びることになるだろう。
また、ここ数年のマンション市況の活況と東京23区への集積により、同じ駅でも大型のマンション用地や駅至近のマンション用地が少なくなっている。東京23区内の新築マンションでも、中古マンションの立地よりも駅距離などが劣る立地が増えてくると考える。
もともと、日本では多くの人が新築を買う。しかし、これからは「やや駅距離のある新築マンション」と「やや築年が経過しているが立地のよい中古マンション」のどちらにするかを検討するような時代が来るのではないだろうか。
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