(写真はイメージです/PIXTA)

不動産経済研究所によると、2023年9月の首都圏新築マンション平均発売価格・発売戸数・初月契約率はどれも上昇(前月比)。高値が継続しており、需要者が様子見を始めたエリアもあるといいます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、首都圏新築マンション市場の動向について解説します。

建築費上昇を価格転嫁できる可能性が高い東京都心部のマンション用地購入が増加

[図表4]はMSCIリアルキャピタル・アナリティクスの公表から、関東圏内における2022年と2023年に取引されたマンション用地の立地を示したものである。2022年に取引されたマンション用地は神奈川県伊勢原市、埼玉県草加市、茨城県水戸市などの郊外部を含め、広く分布している。

 

しかし2023年に取引されたマンション用地は東京23区へ集積している。デベロッパーは、建築費の増加を価格に転嫁しやすい東京都心部へ投資を集中させている。

 

※2023年は10月18日までに判明した事例 (資料)MSCIリアルキャピタル・アナリティクス、国土地理院の公表からQGISにてニッセイ基礎研究所が作成
[図表4]取引された関東県内のマンション用地の立地(2022年、2023年) ※2023年は10月18日までに判明した事例
(資料)MSCIリアルキャピタル・アナリティクス、国土地理院の公表からQGISにてニッセイ基礎研究所が作成

今後も、東京都心部へのマンション集積は高まる

デベロッパーのマンション用地取得額は依然として減少傾向で、新築マンション供給は今後一層少なくなる見通しは変わらない。2023年の用地取得状況から、2025年頃に供給されるマンションは東京23区の高価格帯マンションが中心となり、首都圏新築マンションの平均発売価格は高値水準での推移が続くと考える。

 

首都圏新築マンションの供給戸数の減少が高値水準の維持に貢献するだろうが、それでも需要の減少に対応しきれない場合は販売開始から完売までの期間が伸びることになるだろう。

 

また、ここ数年のマンション市況の活況と東京23区への集積により、同じ駅でも大型のマンション用地や駅至近のマンション用地が少なくなっている。東京23区内の新築マンションでも、中古マンションの立地よりも駅距離などが劣る立地が増えてくると考える。

 

もともと、日本では多くの人が新築を買う。しかし、これからは「やや駅距離のある新築マンション」と「やや築年が経過しているが立地のよい中古マンション」のどちらにするかを検討するような時代が来るのではないだろうか。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月23日に公開したレポートを転載したものです。

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