(写真はイメージです/PIXTA)

公表された23年23年9月の消費者物価によると、コアCPI上昇率はエネルギー価格の下落率拡大や食料の上昇率鈍化を要因として、22年8月以来13ヵ月ぶりに3%を割り込みました。また、コアCPI上昇率は23年度末頃まで2%台で推移することが予想されます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏が消費者物価の現況について解説します。

1.コアCPI上昇率は22年8月以来の3%割れ

総務省が10月20日に公表した消費者物価指数によると、23年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.8%(8月:同3.1%)となり、上昇率は前月から0.3ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:2.7%、当社予想も2.7%)を上回る結果であった。

 

エネルギー価格の下落率拡大、食料(生鮮食品を除く)の上昇率鈍化を要因として、コアCPI上昇率は22年8月以来、13ヵ月ぶりに3%を割り込んだ。

 

(資料)総務省統計局「消費者物価指数」
[図表1]消費者物価指数の推移 (資料)総務省統計局「消費者物価指数」

 

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比4.2%(8月:同4.3%)、総合は前年比3.0%(8月:同3.2%)であった。

 

コアCPIの内訳をみると、ガソリン(8月:前年比7.5%→9月:同8.7%)、灯油(8月:前年比3.2%→9月:同7.5%)の上昇率は高まったが、電気代(8月:前年比▲20.9%→9月:同▲24.6%)、ガス代(8月:前年比▲9.5%→9月:同▲12.5%)の下落率が拡大したことから、エネルギー価格の下落率は8月の前年比▲9.8%から同▲11.7%へと拡大した。ガソリン、灯油は9月から燃料油価格激変緩和措置の補助率が引き上げられているが、調査日の中旬時点では8月よりも価格が上昇していた。

 

食料(生鮮食品を除く)は前年比8.8%(8月:同9.2%)となり、上昇率は前月から0.4ポイント縮小した。外食は23年3月の前年比6.9%を+ピークに6ヵ月連続で伸びが鈍化し、9月には同5.0%となった。

 

また、麺類(前年比10.0%)、菓子類(同11.6%)などは引き続き前年比で二桁の高い伸びとなっているが、前年の上昇ペースが速かったことの裏が出ることで、伸び率が鈍化する品目が増え始めている。

 

(注)制度要因は、Go Toトラベル事業、全国旅行支援 (資料)総務省統計局「消費者物価指数」
[図表2]消費者物価(生鮮食品を除く総合)の要因分解 (注)制度要因は、Go Toトラベル事業、全国旅行支援
(資料)総務省統計局「消費者物価指数」

 

サービスは前年比2.0%(8月:同2.0%)となり、上昇率は前月と変らなかった。外食の伸びは鈍化(8月:前年比5.3%→9月:同5.3%)したが、鉄道運賃(JR)(8月:前年比1.1%→9月:同1.7%)、タクシー代(8月:前年比7.5%→9月:同7.9%)、ゴルフプレー料金(8月:前年比0.6%→9月:同3.6%)、ウェブコンテンツ利用料(8月:前年比3.1%→9月:同5.2%)などが伸びを高めた。

 

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.04%(8月:▲0.88%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.86%(8月:1.91%)、その他財が0.99%(8月:1.06%)、サービスが1.00%(8月:1.01%)であった。

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月20日に公開したレポートを転載したものです。

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