YouTubeへの誹謗中傷に対してとり得る主な法的措置
YouTubeで誹謗中傷をされた場合には、相手に対して次の法的措置がとれる可能性があります。
これらはいずれか1つを選ぶということではなく、それぞれの要件を満たすのであれば、併用することも可能です。なお、これらの法的措置をとるためには、原則として相手の身元が判明していなければなりません。そのため、相手が匿名である場合には、これらに先立って開示請求をする必要があります。
刑事告訴
刑事告訴とは、犯罪の事実を捜査機関に申告し、相手の処罰を求める意思表示です。誹謗中傷は、「侮辱罪」や「名誉毀損罪」などの罪に該当する可能性があります。
しかし、これらはいずれも、被害者側からの告訴がないと相手を罪に問うことができない「親告罪」です(刑法232条)。そのため、名誉毀損罪などで相手に前科を付けるためには、刑事告訴をしなければなりません。
誹謗中傷にまつわる刑事告訴は、まず相手を特定したうえで、警察に告訴状を提出して行うことが一般的です。告訴状が受理されると、まずは警察で捜査が開始され、場合によっては相手が逮捕されます。
その後は検察に事件が送致され、検察でも捜査がなされます。その結果、検察が起訴、不起訴を決め、起訴されれば略式起訴の場合を除き刑事裁判が開始されます。
損害賠償請求
損害賠償請求とは、誹謗中傷によって生じた損害を金銭で賠償するよう、相手に対して請求することです。
誹謗中傷で認められる損害賠償額は、数万円~数十万円程度であることが多いでしょう。ただし、業務に支障が出たなど影響が大きい場合には、損害賠償額も大きくなる傾向にあります。
損害賠償請求はいきなり裁判を申し立てるのではなく、まずは弁護士から内容証明郵便を送るなどして行うことが多いでしょう。
相手が誹謗中傷を反省し請求額を支払えば、示談の成立となります。一方、相手が請求を無視するなど不誠実な対応をとるケースもゼロではありません。この場合には、裁判上での損害賠償請求へと移行します。
YouTubeでの誹謗中傷コメントで開示請求をする流れ
YouTubeでの誹謗中傷に対して開示請求をする基本の流れは、次のとおりです。
投稿の証拠を残す
YouTubeで誹謗中傷をされたら、まずはスクリーンショットでコメントの証拠を残しましょう。スクリーンショットを撮るべき箇所は、次のとおりです。なお、ここで紹介するのは、自分が投稿をした動画に対して誹謗中傷のコメントがなされた場合の一例です。
・誹謗中傷コメント(複数の動画にコメントがあれば、すべて)
・コメントされた動画のタイトルとURL(複数の動画にコメントがあれば、すべて)
・コメントをしたユーザーのプロフィールページとそのURL
なお、スマートフォンからスクリーンショットを撮影した場合には、URLなどの表記が不完全となる傾向にあります。そのため、スクリーンショットはパソコンから撮影するなど工夫するとよいでしょう。
また、自分で撮影したスクリーンショットには、不備があることが少なくありません。そのため、撮影後にはスクリーンショットに不足がないか、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。
弁護士へ相談する
誹謗中傷の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談しましょう。なぜなら、誹謗中傷への法的措置は時間との勝負であるといっても過言ではないためです。弁護士への相談が遅れれば、ログの保存期間内での開示請求が間に合わないかもしれません。
開示請求をする
弁護士へ依頼をしたら、いよいよ開示請求を行います。YouTubeでの開示請求の流れは、おおむね次のとおりです。ただし、YouTubeでの誹謗中傷には、実際にはさまざまなバリエーションが存在します。投稿へのコメントのほか、動画を投稿して誹謗中傷をしたりライブ配信で誹謗中傷をしたりする場合などです。そして、誹謗中傷の方法などによって、開示請求への対応も異なります。
そのため、あくまでも一例としてご参照頂き、実際の対応は弁護士までご相談ください。
1.YouTubeへ開示命令を申し立てる
はじめに、YouTubeに対して開示請求を申し立てます。
なお、インターネット上での誹謗中傷にはこれと併せて「提供命令」を申し立てることが多いものの、YouTubeでの誹謗中傷ではこの提供命令を使用するか否かは場合によります。提供命令とは、誹謗中傷の投稿者が用いた接続プロバイダに関する情報を被害者側に提供したり、YouTubeが保有するIPアドレスなどの情報を接続プロバイダなどに対して提供したりする手続きです。
2.YouTubeから契約プロバイダ名やIPアドレスなどの情報が開示される
開示命令が認められると、YouTubeから誹謗中傷投稿のIPアドレスや相手が使用した接続プロバイダ名などが開示されます。
ただし、YouTubeはユーザーの住所や氏名までの情報は把握しておらず、この段階ではまだ身元の特定までには至りません。
3.契約プロバイダへ開示命令とログ保存を申し立てる
次に、YouTubeから開示されたIPアドレスなどの情報をもとに、誹謗中傷をしたユーザーが接続に使用したプロバイダ(NTTやKDDIなど)に対して、開示命令とログの保存を申し立てます
4.プロバイダから契約者へ意見聴取がなされる
申し立てをすると、プロバイダから契約者に対して、意見聴取がなされます。契約者はこの意見聴取がなされた時点で、開示請求がされていることに気付くケースが多いでしょう。意見聴取の期間は、2週間程度となることが多いでしょう。
5.接続プロバイダから契約者の住所や氏名が開示される
プロバイダの主張や意見照会の結果を踏まえ、裁判所によって開示が相当であると判断されたら、接続プロバイダから被害者側に対して、契約者の住所や氏名が開示されます。
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