(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺贈」とは、個人が遺言によって、自身の財産を受遺者に無償で譲渡する方法です。相続とは異なり、法律で規定された相続人に限らず、相続人以外の人にも財産を譲渡することができます。つまり、事実婚や同性婚のパートナー 、お世話になった友人や知人などにも財産を譲渡することができるのです。今回は、相続人以外の第三者に遺贈した場合のメリット・デメリット、相続税の計算方法や注意点等について解説します。

相続人以外の第三者に遺贈した場合の相続税の計算例

被相続人が法定相続人の他に法定相続人以外の第三者へ遺贈する場合、やや相続税の計算は複雑になります。こちらでは例をあげ、STEPごとに分けて説明しましょう。

STEP1:遺言書で遺贈の内容を確認

遺言者(被相続人)の遺言を確認すると、遺産総額が7,000万円で、受贈者は被相続人の法定相続人2名(配偶者・子供)の他、法定相続人以外の第三者1名が含まれていました。それぞれの遺贈の内訳は次の通りです。

 

・配偶者:3,500万円

 

・子供:2,800万円

 

・第三者:700万円

 

受贈者たちは納得し、それぞれ遺産を取得することになりました。

STEP2:相続税の基礎控除を利用する

例では被相続人の法定相続人の配偶者・子供が受贈者になっています。そのため、相続税の基礎控除が適用されます。しかし、法定相続人の数に第三者は含まれないので次のような計算となります。

 

3,000万円+600万円×2人=4,200万円

 

遺産総額7,000万円から基礎控除額4,200万円を差し引くと

 

遺産総額7,000万円-基礎控除額4,200万円=2,800万円

 

2,800万円が相続税の対象です。

STEP3:全体の相続税額を計算

まずは法定相続人(配偶者・子供)の法定相続分に応じた割合で計算します。

 

・配偶者の法定相続割合50%:2,800万円×50%=1,400万円

 

・子供の法定相続割合50%:2,800万円×50%=1,400万円

 

双方とも法定相続分に応じた取得金額は1,400万円なので、税率15%、控除額50万円で計算します。

 

・配偶者:1,400万円×税率15%-控除額50万円=160万円

 

・子供:1,400万円×税率15%-控除額50万円=160万円

 

配偶者と子供の相続税額は合計で320万円です。

STEP4:それぞれの受贈分に割り当てる

相続税額の合計で320万円を、それぞれ受贈分に従って割り振ります。

 

・配偶者の取得額3,500万円(遺産総額の50%):320万円×50%=相続税額160万円

 

・子供の取得額2,800万円(遺産総額の40%):320万円×40%=相続税額128万円

 

・第三者の取得額700万円(遺産総額の10%):320万円×10%=32万円

 

ただし、第三者は相続税が2割加算となるので

 

32万円×20%=6.4万円(2割加算分)

 

32万円+6.4万円=相続税額38.4万円

 

第三者の相続税額は38.4万円です。

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