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米国センサス局が発表した9月の住宅着工、許可件数について、住宅着工は市場予想の138.3万件を下回った一方、許可件数は市場予想の145.3万件を上回りました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が米国における住宅着工・許可件数の現況について解説します。

1.結果の概要:住宅着工は市場予想を下回った一方、許可件数は市場予想を上回る

10月18日、米国センサス局は9月の住宅着工、許可件数を発表した。

 

住宅着工件数(季節調整済、年率)は135.8万件(前月改定値:126.9万件)と128.3万件から下方修正された前月を上回った一方、市場予想の138.3万件(Bloomberg集計の中央値)を下回った(図表1、図表3)。

 

着工許可件数(季節調整済、年率)は147.3万件(前月改定値:154.1万件)と154.3万件から小幅下方修正された前月を下回った一方、市場予想の145.3万件を上回った(図表2、図表5)。

 

[図表1]住宅着工件数/[図表2]住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建ては着工件数、許可件数ともに前月比、前年同月比で増加

住宅着工件数の伸びは前月比+7.0%(前月:▲12.5%)2桁のマイナスとなった前月からプラスに転じた(図表3)。戸建てが+3.2%(前月:▲5.6%)と前月からプラスに転じたほか、集合住宅も+17.6%(前月:▲27.4%)とこちらは4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表4)。

 

前年同月比は▲7.2%(前月:▲15.7%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、戸建てが+8.6%(前月:+1.5%)と3ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲31.4%(前月:▲42.7%)と4ヵ月連続のマイナスとなって全体を押し下げた。

 

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲2.1%ポイント(前月:+0.2%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、中西部が+4.2%ポイント(前月:▲1.7%ポイント)、南部が+3.7%ポイント(前月:▲3.9%ポイント)、西部が+1.3%ポイント(前月:▲7.2%ポイント)といずれも前月からプラスに転じた。

 

[図表3]住宅着工件数(伸び率)/[図表4]住宅着工件数前月比(寄与度)

 

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲4.4%(前月:+6.8%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+1.8%(前月:+1.9%)と9ヵ月連続のプラスとなった一方、集合住宅が▲14.3%(前月:+15.6%)と前月からマイナスに転じて全体を押し下げた(図表6)。

 

前年同月比は▲7.2%(前月:▲2.8%)と14ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが+11.6%(前月:+7.1%)と3ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲29.7%(前月:▲15.4%)と7ヵ月連続のマイナスとなり、全体を押し下げた。

 

[図表5]住宅着工許可件数(伸び率)/[図表6]住宅着工許可件数前月比(寄与度)

 

一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で9月がそれぞれ▲22.7%(6月:+19.9%)、+9.9%(6月:+7.8%)と、着工件数は6月から大幅なマイナスに転じた一方、許可件数はプラスを維持した(図表7)。

 

(注)住宅着工件数、住宅建築許可件数は3ヵ月前比年率
[図表7]住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 (注)住宅着工件数、住宅建築許可件数は3ヵ月前比年率

 

足元の経済指標からアトランタ連銀が推計するGDPナウは23年7-9月期の実質GDPにおける住宅投資が前期比年率+4.8%と前期の▲2.2%から10期ぶりにプラスに転じる可能性を示唆している。しかしながら、住宅着工件数が示すように住宅市場は6月から9月にかけて回復のモメンタムが低下している可能性を示している。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月19日に公開したレポートを転載したものです。

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