金融商品取引法によって厳格な要件が定められている
2.ロボアドバイザービジネスに関連する金融商品取引業の登録必要要件
第一種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業の登録取得に必要な要件の概要は下記の図表のとおりである。
第一種金融商品取引業については、投資者と資本市場を仲介する中核的存在であり、顧客資産の預託を受けることが通常であること、投資運用業については、顧客に代わって資産を運用することにより国民の資産形成に直接関与する存在であることなどから、その健全な業務運営の必要性が高いものとして、総じて厳格な要件とされている(1)。
【図表】金融商品取引業の登録必要要件
登録要件や審査が特に厳しい第一種金融商品取引業
このように、第一種金融商品取引業および投資運用業の登録の取得要件と、投資助言・代理業の登録の取得要件との間には、実務上、人員整備、体制整備の面でも、準備すべき資金の面でも大きな違いがあると言える。特に、第一種金融商品取引業の登録取得要件は、他の2つの業登録の取得要件と比べて人的構成や社内体制整備のみならず財産的要件も厳格である上に、実務上、実際の登録取得までの当局審査も最も厳しいものとなっている。
また、登録取得に係る期間としては、第一種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業のいずれも、登録の申請からの法定処理期間は2カ月とされているものの、実務上は登録の申請の前に財務局と事前相談を行うことが必要となることが一般的である。
そして、上記の体制整備の負担の重さの相違から、社内規程の整備を含め財務局との申請書類のやりとり等の登録申請までに要する交渉期間が、第一種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業の順に長くなりやすい。さらに、実務上、複数の業務の登録をまとめて取得しようとすると、1つの業務の登録申請を行う場合よりも、登録申請までの当局との交渉期間が長びく傾向にある。
(1)松尾直彦『金融商品取引法(第4版)』(商事法務、2016)369頁。