今週の注目点…中東情勢と「弱い」予想の米景気指標
今週は、米9月小売売上高など、米景気指標の発表が多く予定されていますが、事前の予想では前回より弱い結果になると見られています(今週予定されている主な米景気指標の具体的な予想は以下の通りです)。
〈16日〉NY連銀製造業景気指数=前回1.9、予想-4
〈17日〉米9月小売売上高(前月比)=前回0.6%、予想0.3%
同コア指数(前月比)=前回0.6%、予想0.2%
これまでは7~9月期の米実質GDPが「5%成長」といった異例の高成長の可能性もあるなど、強過ぎる景気を受けた大幅な米金利上昇が展開してきましたが、次第にそのような金利の「上がり過ぎ」が景気をどこまで減速させるかに、金融市場の注目がシフトしている感じがあります。そうであれば、予想通り弱い米景気指標の結果が出た場合に、米金利が一段と低下に向かう可能性があります。
米ドル/円は、基本的に日米10年債利回りと一定の相関関係が続いてきました(図表5参照)。この関係が続くなら、米ドル/円の行方は、主に米10年債利回りの動きを受けて日米金利差がどのように変化するかが目安になります。
そんな米10年債利回りと日本の10年債利回りの値動きは重なって推移する傾向があります(図表6参照)。一時0.8%まで上昇した日本の10年債利回りがこのところ上昇一服となったのは、やはりこれまで見てきた米10年債利回りの低下の影響が大きいでしょう。
この間の両者の関係を前提にすると、米10年債利回りが4.5%割れへ一段と低下した場合は、日本の10年債利回りも0.75%を下回る可能性が高く、その場合日米10年債利回り差米ドル優位は3.75%程度への縮小が見込まれます。これをこの間の米ドル/円との関係に当てはめると、米ドル/円は147円割れへ下落する見通しになります。
以上から、今週の米ドル/円は米景気指標や中東情勢を受けた米金利の動向に注目しながら、147~151円中心での展開を予想したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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