株価の「季節性」とは?
ところで、「株価が年末にかけて調子を取り戻す」という「季節性」を演出するものはなんでしょうか。
株価の基礎となるものは、ファンダメンタルズです(→ほかに、換金や新規買いなどの資金フローや需給も挙げられるでしょう)。
仮に、「年末にかけて経済指標が改善する傾向」にあれば、言い換えれば、経済指標に「季節性」があれば、それが株価を支えているのかもしれません。とはいえ、金融市場の多くの参加者は「季節調整が施された経済指標」をみて、取引を行っています(→他方の株価は季節調整が実施されていない「生の数値」です)。
たとえば、[図表6]に示すとおり、米国の「雇用統計」(=非農業部門雇用者数)は毎年12月がもっとも高く、1月には低水準となる季節性があります。年末のグリーティング・シーズンに向けて臨時雇用が増え、翌年1月にはそれらの人々が解雇されるためです。
「季節調整前の数値」で前月からの雇用者数の変化をみると、「1月分は毎年大きなマイナス」=雇用の大幅減になります。しかしながら、それは必ずしも「景気の悪化」を示唆しません。
合わせて、そうした季節性が残っている(=季節調整前の)経済データを基に金融市場での取引を行うことは困難です。たとえば、1月の雇用統計が「前月比で大幅なマイナス」でも、そのうち、「①景気悪化による雇用減はどの程度で、②例年の年末越えの解雇はどの程度なのか」を逐一、分解して判断する必要が生じます。
それゆえ、金融市場での取引を含む、実体経済の状況や傾向を判断するために、多くの経済データには季節調整が施されます。