季節調整済み指数をみても、年末にかけ経済指標は「堅調」
前節で述べたとおり、季節調整済みの指数からは、長期のデータを用いて「季節性」が取り除かれているはずです。
とはいえ、最近のデータだけに注目をすれば、経済指標の出方になんらかのクセがあるかもしれません。
「季節調整済みの数値に季節性を見出す」というのは変な話ですが、仮に、そうしたクセがあるとすれば、たとえそれが本質的には景気変動とは関係がなく、取り除かれるべき季節性であったとしても、金融市場は実際にそれに反応してしまう可能性があります。以下、主要な経済指標でそれを見てみましょう。
たとえば、[図表7]に示すとおり、米国の雇用統計(非農業部門雇用者数の前月からの変化;季節調整済み)を取ると、1990年以降の景気後退の影響を受けていない「平時の年」では(→今年も「平時」と仮定)、8月を底に年末にかけて数値が改善する傾向があります。
また、[図表8]に示すとおり、米国の実質個人消費支出(季節調整済み)の前月比を取ると、1990年以降の景気後退の影響を受けていない「平時の年」では、年末にかけて数値が改善する傾向があります。
別途、[図表9]に示すとおり、米国のISM製造業景気指数を取ると、1990年以降の景気後退の影響を受けていない「平時の年」では、年初がピークで、秋までは低下、年末にかけて底打ちする傾向があります。
「年末が低めで、年初が高め」ですから、底打ちする秋頃は買い場なのかもしれません(→ただし、今年は例年(平均値)とは異なる動きですので、わかりません)。
あくまで最近のデータであり、平均値でしかありませんが、主要な米国の経済指標は秋以降の「株価回復」をサポートしているのかもしれません。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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