(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦の財布は1つにするべきなのでしょうか? 長年連れ添った2人でもお金の管理を共有していなければ思わぬ事態にもなり得ると、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏はいいます。本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、夫婦のお金の管理について解説します。

夫婦のお財布は1つ?

かつての日本の夫婦の考え方は、「夫が外で働き、妻が家庭を守るべきである」が一般的でした。そんな時代にサラリーマン生活を全うした夫Aさん(70歳)。これまで、妻(65歳)と二人三脚で子育て、住宅ローンの返済等を終え、年金暮らしとなったいま、2人は世間でいう「おしどり夫婦」です。

 

夫婦2人の年金は、286万133円、月額に換算すると23万8,344円で、内訳は次のとおりです。

 

※老齢基礎年金は2023年度新規裁定者の満額。老齢厚生年金は差額加算を考慮せず。A夫さんの平均標準報酬月額は47万円、480月。妻の老齢基礎年金は振替加算額33,619円(2023年度額)で計算。
[図表]Aさん夫婦の年金額

 

※老齢基礎年金は2023年度新規裁定者の満額。老齢厚生年金は差額加算を考慮せず。A夫さんの平均標準報酬月額は47万円、480月。妻の老齢基礎年金は振替加算額33,619円(2023年度額)で計算。

 

厚生労働省のモデルケースでは、標準的な夫婦2人分の年金額は、22万4,482円(Press Release「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」)であり、生命保険文化センターにおける、老後の最低日常生活費は夫婦2人で、平均額は月額で23万2,000円(2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 《速報版》)となっています。

 

上記より、Aさん夫婦の年金収入を1つのお財布として考えると、月約24万円の年金のみで日常生活を送ることができそうです。妻はやりくり上手でAさんは安心して自身の年金を通帳ごと任せてきました。

 

Aさんの退職時には退職金と貯蓄で3,500万円ありましたが、70歳になった現在では、1,500万円を下回ってきました。昨今の物価高から、子と孫に住宅購入や教育資金などをたびたび援助していたことが、貯金を目減りさせた大きな原因の1つとなっています。

 

Aさん夫婦の贅沢といえば、趣味や年2回程度の旅行を楽しむ程度でしたが、今後、介護等が必要になったときのことを考えると不安になり、FPに相談することにしました。そこで、Aさんは妻から衝撃の一言を聞くことに……。

 

 

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