兄弟姉妹の死亡で相続放棄するときの注意点
兄弟姉妹の死亡で相続放棄をする場合に特有の注意点として、次の4つをご紹介します。
・遺産の内容が確認しづらい
・兄弟姉妹が相続放棄すると甥・姪は相続できない
・全員が相続放棄すると相続人はいなくなる
知らないうちに相続人になる場合がある
故人の子や両親が相続放棄すれば、知らないあいだに兄弟姉妹が相続人になる場合があります。
子や両親が相続放棄をしたときは、次に相続人になる兄弟姉妹に対して家庭裁判所からの通知はありません。相続放棄した子や両親が兄弟姉妹に連絡すればよいのですが、次に兄弟姉妹が相続人になることを知らなかったなどの理由で連絡されないケースもあります。
先に相続人になる人が全員相続放棄した場合は故人に借金があることが多く、知らないあいだに故人の借金の返済義務を負う場合もあります。
兄弟姉妹が亡くなったときは、先の順位の相続人が相続放棄しているかどうか確認することをおすすめします。本人に直接聞くほか、家庭裁判所で照会することもできます。詳しい手続きは、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で確認してください。
(参考)裁判所ホームページ 裁判所の管轄区域(都道府県を選択すると、地域ごとの管轄裁判所(支部・出張所)が表示されます。)
(参考)静岡家庭裁判所 相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会をされる方へ
故人に配偶者がいるからといって安心はできません。配偶者が相続放棄しているかどうかにかかわらず、子や両親が相続放棄をした場合は兄弟姉妹が相続人になります。
なお、新たに相続人になった人は、先の順位の相続人が相続放棄をしたことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申し出れば相続放棄ができます。
遺産の内容が確認しづらい
兄弟姉妹はそれぞれ生計が独立していることが多く、財産の内容まで把握しているわけではありません。このような事情から、兄弟姉妹が死亡したときの相続では、親や配偶者の場合に比べて遺産や借金の内容が確認しづらくなります。
一度遺産を相続するとあとで相続放棄をすることはできず、故人に借金があるとわかったときに返済を免れる手段がなくなってしまいます。遺産や借金の内容が確認できない場合は、家庭裁判所に相続放棄の期限の延長を申し出るか、トラブルを回避するため相続放棄するなどの対応をとる必要があります。
兄弟姉妹が相続放棄すると甥・姪は相続できない
相続人となる兄弟姉妹がすでに死亡した場合は、その人の子、つまり甥・姪が代襲相続します。兄弟姉妹に非行があって相続欠格、相続廃除で相続権を失った場合も同様です。
しかし、兄弟姉妹が相続放棄した場合に、甥・姪が代襲相続することはできません。相続放棄した人は最初から相続人でなかったことになるからです。
故人の兄弟姉妹が相続放棄の手続きをする前に死亡した場合は、甥・姪が相続放棄するかどうかを判断します。このようなケースを再転相続といい、相続放棄すべきかどうかの判断が難しくなります。
全員が相続放棄すると相続人はいなくなる
兄弟姉妹が全員相続放棄すると次に相続人になる人はなく、誰も相続する人がいない状態(相続人不存在)になります。
相続する人がいない財産は相続財産清算人のもとで債務が返済されるほか、遺言があれば受遺者に財産が与えられます。それでも余った財産は、相続人以外で特別の縁故がある人(特別縁故者)に与えられ、誰にも引き取られない財産は国に収められます。
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