※画像はイメージです/PIXTA

死亡した兄弟姉妹に多額の借金が残っていた場合、相続放棄を行うという選択肢があります。では、具体的にどのようなケースで相続放棄を行うべきなのでしょうか。本記事では、兄弟姉妹の死亡で相続放棄をするときの手続き方法と注意点について解説していきます。

故人の兄弟姉妹が相続人になる2つのケース

故人の兄弟姉妹が相続人になるケースとしては、次の2つがあげられます。

 

・故人に子がおらず両親はすでに死亡した場合

・故人に子や両親がいるが全員相続放棄した場合

 

故人に子がおらず、両親はすでに死亡した場合

次の場合は、故人の兄弟姉妹が相続人になります。

 

・故人に子がいない

・かつ、両親はすでに死亡した

 

子がいないとは、もともと子がいない場合のほか、子が先に亡くなった場合も含まれます。孫がいれば、死亡した子に代わって孫が相続人になります(代襲相続)。

 

両親はすでに死亡したとは、父母のほか、祖父母など上の世代の人が全員亡くなったことを意味します。両親が亡くなっても、祖父母で健在の人がいればその人が相続人になります。

 

配偶者は常に相続人になります。故人に子や両親がおらず配偶者がいる場合は、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続人になります(図表1参照)。

 

[図表1]故人に子がおらず、両親がすでに死亡した場合の相続人関係図

 

故人に子や両親がいるが全員相続放棄した場合

先に相続人になる子や両親が全員相続放棄した場合も、故人の兄弟姉妹が相続人になります。相続放棄をするとその人は最初から相続人でなかったことになり、次に相続人になるべき人が繰り上がって相続人になります。

 

子が相続放棄した場合は、次に両親が相続人になります。相続放棄した場合は代襲相続ができないため、孫は相続人になりません。

 

両親が相続放棄すると祖父母など上の世代の人が相続人になります。すでに全員亡くなった場合や相続放棄した場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

 

子や両親が全員相続放棄をした場合は、配偶者が相続放棄しているかどうかにかかわらず、兄弟姉妹が相続人になります。配偶者が相続放棄していない場合は、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続人になります。配偶者も相続放棄していれば、兄弟姉妹だけが相続人になります(図表2参照)。

 

[図表2]故人に子や両親がいるが全員相続放棄した場合の相続人関係図

兄弟姉妹の死亡で相続放棄するケース

故人の兄弟姉妹が相続人になった場合は、遺産を相続するか放棄するかを判断しなければなりません。相続放棄をするのは、おおむね次のような場合です。

 

・故人に借金があって返済を免れたい場合

・遺産相続を円滑に済ませたい場合

 

故人に借金があって返済を免れたい場合

遺産相続は、現預金や不動産のようにプラスの価値があるものだけでなく、借金のようにマイナスの価値があるものも対象になります。もし故人に借金があれば、相続人が返済しなければなりません。

 

故人が多額の借金を抱えていて相続した財産で返済できない場合は、相続放棄することが一般的です。相続した財産の範囲内で借金を返済する限定承認という方法もありますが、手続きが複雑で一般的ではありません。

 

子や両親など先に相続人になる人が全員相続放棄した結果、兄弟姉妹が相続人になった場合は、故人に借金があることが多いので注意しましょう。

 

遺産相続を円滑に済ませたい場合

相続放棄は、遺産相続を円滑に済ませたい場合に行われることもあります。たとえば、次のような場合です。

 

・事業承継のために遺産を特定の相続人に継がせたい

・遺産が少ないので手続きを簡単にしたい

・相続のトラブルに巻き込まれたくない

 

兄弟姉妹の相続では、故人の配偶者も共同で相続人になっている場合があります。この場合、兄弟姉妹の法律上の相続分は全員合わせても4分の1しかありません。親戚付き合いがあまりなく遺産も少額であるなら、トラブルを避けるために兄弟姉妹があえて相続放棄することも1つの選択肢です。

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページ兄弟姉妹の死亡で相続放棄するときの手続き

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧