マニュアル化できない仕事とは?
中小・成長企業では、業務の多くが単純にはマニュアル化できない、高度な職人技や個人に依存する能力で成り立っています。たとえば、
・イレギュラー対応が多い接客の仕事
・各種コンサルティング等のプロフェッショナルサービス
・製造や建設などベテラン職人の勘や経験が求められる仕事
こういった仕事では、社員を成長させるのに時間がかかり、創業メンバーや先輩社員の仕事を新人に委任するのに時間がかかるのです。そのため、業績の成長スピードに組織と人の成長が付いていかず、成長が停滞します。
そこでここでは、一見、マニュアル化できないと思われるような、高度な仕事にどう対処し、会社を成長させていくのかをご紹介していきます。
選択肢1:マニュアル化できない仕事自体を「なくす」
逆説的ですが、高度な個人技が必要とされる仕事自体をなくす方法があります。これには2つのパターンがあります。
1つ目は、サービスや商品の提供方法を変え、個人に依存する部分をなくす(減らす)ことです。2つ目は、提供する商品やサービスを絞り込み、高度な職人技が必要な仕事をなくしてしまうことです。
基本的に、サービス・商品点数を増やし、多様な顧客に対応しようとすればするほど、仕事は複雑化し、それがマニュアル化を妨げることになるのです。
つまり、高度な仕事をマニュアル化しようとするのではなく、仕事を簡単にしたうえで、マニュアル化するわけです。
事例1:どんな現場でも3日でリフォームが完了する職人集団に
A氏は、業界では有名な職人集団を率いていました。彼らはあらゆる地域で、あらゆる工事を請け負い、仕事をきっちりこなす会社として知られていました。
しかし、A氏が仕事に行く途中、大きな交通事故を起こし、大怪我を負ってしまった。彼は体を動かすことができなくなり、6ヵ月間、病床で酒を飲むくらいしかやることがなくなってしまったのです。
ある時、A氏は気が付きます。いままでの仕事のやり方が間違っていたと。自分たちの身体を酷使して仕事をするのを誇りに思っていたが、自分が動けなくなったいま、それが問題になってしまっている、と。
A氏は2年半をかけて、スタッフとともに、新しいビジネスモデルを考えることにしました。その結果、生まれたのが、どんな現場でも3日間で工事が完了するリフォーム会社です。新しいビジネスモデルは無事に離陸し、彼の会社はまったく新しいものとして生まれ変わりました。
事例2:ひとつに特化し、企業価値を向上
アメリカのとあるデザイン会社のオーナーは、創業した会社を売却したがっていました。創業から20年以上が経ち、後継者もおらず、今後の自分の人生を考えたとき、ビジネスを引退して家族と過ごす時間を増やしたいと考えたからです。
しかし、M&Aのブローカー(仲介会社)に相談したところ、「いまのままでは売れても大した金額にはならない」と言われてしまいました。原因は、ビジネスの運営がオーナーに依存しており、市場における競争力も無かったからです。
そこでオーナーは、これまでに提供した多種多様なデザインのサービスを絞り込み、ロゴデザイン会社として再スタートすることにしました。ロゴ制作のプロセスを仕組み化し、オーナーに依存せずデザインが可能になりました。
ロゴに特化したおかげで市場での認知度が高まり、これまでよりも高単価で案件を獲得できるようになりました。
再スタートしてから数年後、ビジネスは成長を遂げ、オーナーは希望する金額でビジネスを売却することに成功しました。
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