(※写真はイメージです/PIXTA)

「爆サイ」とは、インターネット上で誰でも書き込み、閲覧できる地域密着型の掲示板サイトです。「爆サイ」をはじめとする匿名掲示板は、誰が投稿したかわからないため、誹謗中傷が起こりやすい環境といえます。では、もし実際に「爆サイ」で匿名の人物から誹謗中傷されてしまったら、特定することは可能なのでしょうか。本記事では、爆サイで誹謗中傷された場合の対処法についてAuthense法律事務所の弁護士が解説します。

爆サイでの誹謗中傷に発信者情報開示請求をする流れ

爆サイで誹謗中傷の被害に遭った場合に、発信者情報開示請求をする基本的な流れは次のとおりです。

 

1.書き込みの証拠を保全する

爆サイで誹謗中傷の被害に遭ったら、まずは書き込みの証拠を残しましょう。証拠を保全しなければ、誰かが削除依頼をして投稿が消えてしまったり、書き込んだ本人が投稿を消してしまったりして証拠が消失する可能性があるためです。書き込みの証拠は、スクリーンショットなどで保存します。スクリーンショットは、次の事項を漏れなく撮影しましょう。

 

・該当の投稿

・当該投稿のスレッド名

・当該投稿の投稿番号

・投稿された経緯がわかる前後の投稿

・投稿の日時

・投稿のURL

 

なお、スマートフォンで撮影した場合には、URLなどがしっかり保存されない可能性があります。そのため、スクリーンショットはパソコンで撮影するなど工夫した方がよいでしょう。

 

2.弁護士へ相談する

投稿のスクリーンショットを撮影したら、できるだけ早期に誹謗中傷問題にくわしい弁護士へご相談ください。誹謗中傷への法的措置は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。そのため、その当日や翌日など、できるだけ早く相談することをおすすめします。

 

なお、投稿の内容によっては早く投稿を消してほしいと感じる場合もあるでしょう。その場合であっても、削除請求などをするのは弁護士へ相談してからにすることをおすすめします。なぜなら、早まって削除請求をして投稿が消えてしまえば、仮にスクリーンショットの撮影に漏れがあったとしても、追加での撮影ができなくなってしまうためです。

 

3.爆サイの専用フォームから直接情報開示請求をする

弁護士へ対応を依頼すると、まずは爆サイに対して直接情報開示請求を行います。 爆サイではサイト上に発信者情報開示請求の方法が記載されているため、これに従い開示依頼を行います※1

 

4.アクセスプロバイダに発信者情報開示請求をする

爆サイにて発信者情報の開示が認められると、投稿のIPアドレスなどが開示されます。 しかし、爆サイは投稿者の住所や氏名、メールアドレスなどの情報を持っていないため、これらの情報までの開示を受けることはできません※2

 

そのため、爆サイから開示されたIPアドレスなどの情報をもとに、KDDIなどのアクセスプロバイダに対して、情報開示請求をすることが必要です。 ただし、KDDIなどに対して任意に情報開示請求をしても、開示に応じてもらえる可能性は低いでしょう。 そのため、一般的には裁判所を介して請求を行うことになります。

 

5.アクセスプロバイダの契約者が特定される

裁判所にて情報の開示が妥当であると判断されると、裁判所からアクセスプロバイダに対して発信者情報開示命令が出されます。これにより、アクセスプロバイダから契約者の住所や氏名が開示されます。

 

6.相手に対して損害賠償請求や刑事告訴をする

書き込みをした相手が特定されたら、相手への法的措置を行います。誹謗中傷に対してとり得る法的措置は、主に次の2つです。 これらのうちいずれかの措置のみをとる場合もあれば、両方の措置をとる場合もあります。

 

①刑事告訴をする

法的措置の1つ目は、相手を刑事告訴することです。 インターネット上での誹謗中傷は、刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪などに該当する可能性があります。相手をこれらの罪に問いたい場合には、こちらの方法を検討することとなるでしょう。

 

侮辱罪などで相手を罪に問うためには、まず告訴状を作成し、警察などに告訴しなければなりません。告訴の受理後は警察の判断で事件を捜査し、場合によっては相手を逮捕します。その後は事件が検察に送られ、検察によって事件を起訴するか不起訴とするかが決められ、正式起訴となった場合には、刑事裁判で有罪か無罪かが決まるという流れです。

 

②損害賠償請求をする

法的措置の2つ目は、相手に対して損害賠償請求をすることです。損害賠償請求とは、相手の行為によってこうむった損害を賠償するよう金銭の支払いを求めることを指します。 損害賠償請求をする際には、まず相手に対して弁護士から書面を送ることが多いでしょう。相手が反省し、請求額を任意に支払った場合には示談が成立します。

 

一方、相手が請求を無視したり請求に対して不合理な反論をしたりする場合には、裁判上での請求に移行することとなるでしょう。裁判への移行後は、裁判所が請求の妥当性や請求金額の妥当性を判断します。裁判所が請求を認めれば、相手はこれにしたがって賠償額を支払わなければなりません。仮にそれでも請求を無視した場合には強制執行手続きを行い、強制的に支払いを履行させることとなります。

 

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