フィリピン政府「国営カジノ」25年までに民営化…業界の成長を促す狙い

10月2日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン政府「国営カジノ」25年までに民営化…業界の成長を促す狙い
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンの産業を牽引するカジノ業界とIT-BPM業界の最新動向と、為替介入の動きについてレポートします。

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【比カジノ産業】カジノ公社は規制機関へ

フィリピンではフィリピン娯楽・ゲーミング公社(PAGCOR/パグコー)という政府が管轄が公社がカジノを運営していますが、民営化の準備を進めています。今後、事業評価鑑定を実施し入札価格を設定していく段取りで、2025年までに入札により資産を売却するタイムテーブルは実現可能としています。

 

PAGCORは、カジノ運営業務を切り離し、完全な規制機関になる計画です。この移行によって均等な競争条件を整え、すべてのゲーム業界のプレーヤーの将来の成長と持続可能性を確保することを目的としています。これまでPAGCORの事業運営者と規制機関としての二重の役割が、他の企業にとって不利な条件を作り出したとの指摘もあり、アカデミアからは、この決定を歓迎する声が多く、責任の線引きは利益相反を避けるために重要であるとしています。

 

PAGCORは、ランドベースのカジノ、ビンゴ、電子ビンゴ、e-カジノゲーム、スポーツベッティング、e-ビリヤードなどフィリピン国内のすべてのゲーム運営を規制・管理しています。現在、PAGCORは全国に42のリアルカジノと衛星を運営しています。ゲーミング事業からのPAGCORの売上は600億ペソから800億ペソと言われています。

【比IT-BPM業界】2023年度成長率、世界平均を上回る予想

フィリピンのBPO(IT-BPM)業界は、米国の外部委託企業、北米の人材不足、そして政府の強力な支援に支えられ、年末までに350億ドル(約2兆ペソ)の収益目標を達成する見通しで、これにより業界成長率が7.7%の世界平均を上回る8.8%の年間成長率を達成する見込みです。GDP貢献率は昨年の7%から8.4%に上昇する見込みです。ちなみに、インドのIT-BPM業界のGDP貢献率は3〜4%です。また、フィリピンのIT-BPMセクターは、フルタイム従業員数が昨年から8.7%増の170万人に達しました。

 

フィリピンのIT-BPMは、複雑なビジネスサービスとさまざまな業界に対して機能を提供できることから、業界において世界を牽引してます。フィリピン政府は、リモートワークを支援することで、業界の成長に重要な役割を果たしており、これらの政策は企業が変化する労働環境に適応し、外国からの投資を引き寄せるのに役立っています。

 

IT-BPMセクターは、今後2年間で25.7万人のフルタイム従業員と59億ドルの収益を上積みする見込みで、フィリピンで2028年までに創出する必要があるとされる110万の雇用の23%、295億ドルの収益の20%にあたります。

 

業界の成長は、首都圏マニラ以外の地域にも拡大。Cagayan de Oro、Cebu、Clark、Davao、Iloiloは、IT-BPM企業の重要な拠点となっており、これにより経済成長が促進され、食品、物流、不動産、小売り、交通などの他のセクターにも利益が広がっています。またフィリピンは規模の面では、世界一の人口を誇るインドに次ぐ世界のIT-BPMプレーヤーですが、いくつかの分野では、インドを追い越す可能性があます。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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