世界銀行「フィリピン経済成長予測」を6%→5.6%に下方修正
世界銀行は6月に、6%の予測を行ったフィリピンのGDP成長予測を5.6%に引き下げました。フィリピンなど東南アジア諸国にとって、世界経済の減速は大きな懸念事項です。他の東南アジア地域の国々と同様に、フィリピンも輸出品(特にサービス)への依存が高いです。多くのフィリピン人が海外で働いて、国内に送金をしています。高いインフレーションとそれに伴う利上げなど金融引き締め、世界経済の減速懸念により、2023年のフィリピンの経済成長が2022年の7.6%から低下する見込みです。
フィリピン経済は第2四半期に4.3%成長しましたが、これは過去2年で最も低い水準でした。上半期では、経済成長率が5.3%となり、政府の6%から7%の目標を下回りました。低い成長予測にもかかわらず、世界銀行はフィリピンを今年の東南アジア諸国の中で最も成長する国と見ています。
5.6%の成長率は、東アジア・太平洋地域の平均成長率5%を上回ります。同時に、世界銀行はフィリピンの2024年の成長予測を5.9%から5.8%に引き下げました。これは、フィリピン政府の6.5%から8%の目標を下回ります。また、この数値は、カンボジアの6.1%に次ぐ東南アジアで2番目に高い数値です。
世界銀行は、フィリピンのGDP成長は2023年から2025年まで平均5.7%になると予測しています。民間消費と低インフレが経済をけん引すると見ています。また、改正公共サービス法(PSA)のような最近の経済改革が海外からフィリピンへの投資を促進するだろうとしています。
改正PSAは、通信、航空、鉄道などの公共サービスにおいて外国人に100%所有権を認めるもので、2021年4月に発効しました。
インフレに関して、世界銀行は2023年が5.9%、2024年は3.6%に緩和すると予測しています。この予測は、フィリピン中央銀行(BSP)の2023年と2024年のそれぞれ5.8%と3.5%の予測よりもわずかに高い数値です。インフレは、2023年には食品価格の高騰がのためわずかに増加し、2024年には食品供給の改善と世界的な商品価格の安定により、沈静化するであろうと世界銀行は述べています。さらに、世界銀行は2025年にはインフレ率が3%にまで緩和すると予測しており、これはBSPの3.4%の予想を下回ります。
また、世界銀行は、サービスセクターが、東南アジア地域の発展に中心的な役割を果たすとし、サービスは、東アジア・太平洋地域のほとんどの国で少なくとも雇用と付加価値の半分を占めているとしています。またフィリピンでは、特にファイバーブロードバンドーを活用するサービス企業は、生産性が大幅に向上したとしています。