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「遺産相続の手続きは何から始めればいい?」「仕事が忙しくて手続きを調べるのが億劫」──遺産相続の手続きがいろいろとあることはわかっていても、何から始めればいいかわからない方もいらっしゃるでしょう。また、仕事が忙しいとついつい手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし、遺産相続の手続きには期限があるので、期限に遅れないようにきちんと行うべきです。本稿では、司法書士法人みどり法務事務所の佐藤健太司法書士監修のもと、遺産相続の手続き内容と期限、専門家に依頼したほうが良いケースについて解説します。

遺産相続の手続き内容と期限

まず、遺産相続の手続き内容と期限についてご説明します。

死亡届の提出

被相続人が亡くなってから7日以内に、被相続人の死亡地や本籍地の市区町村役場または届出人の住所地の市区町村役場に死亡届の提出が必要です。死亡届を提出する際には、病院に死亡診断書を書いてもらう必要がありますが、死亡届と死亡診断書は一枚の用紙になっています。被相続人が亡くなってからお通夜・告別式と忙しいですが、提出期限に遅れないようにしましょう。

遺言書を探す

葬儀が落ち着いたら、被相続人が残した遺言書を探します。遺産相続をする際には法定相続分を目安に分割しますが、遺言書が残されている場合は、遺言書の内容が優先されます。遺言書がないものとして遺産分割協議を行った後に遺言書が発見されたら、遺産分割協議の意味がなくなってしまいますので入念に探すようにしましょう。

 

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。自筆証書遺言か秘密証書遺言が見つかったら家庭裁判所で「検認」してもらう必要があります。検認するまでは、遺言書の封を開けてはいけません。なお、公正証書遺言は作成時に公証人役場にて認証してもらっているので検認の必要はありません。

 

また、公正証書遺言は作成されているかどうか、公証役場にて検索することも可能なので、もし遺言書を遺したことは聞いていたのに、自宅に遺言書がない場合などは問合わせてみた方がいいでしょう。

相続人を確定する

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、相続人を確認します。親族が把握していない相続人がいる可能性があるからです。

 

例えば、被相続人が再婚で、前の配偶者との間に子供がいればその子供も法定相続人となります。相続人の存在を知らずに遺産分割協議を進めてしまい、後から相続人がいることがわかれば遺産分割協議はやり直しになるので注意しましょう。

相続財産を調査する

相続を分けるために、被相続人の財産を調査します。財産は現金・預貯金・不動産などのプラスの財産だけではなく、負債などのマイナスの財産も確認が必要です。

遺産分割協議を行う

遺言書が残されていない場合には遺産分割協議を行い、どの相続人がどの財産を相続するかを決めます。基本的には法定相続割合で相続内容を決めますが、「被相続人と同居して長年介護をしていたから多めにもらう」「生前贈与をしてもらったから少なめにもらう」などの調整が行われることが多いです。

 

なお、兄弟姉妹以外の法定相続人には法律で守られた遺留分が発生します。遺留分は各法定相続人に与えられた権利なので、各法定相続人の遺留分も考慮した上で相続内容を決めた方がいいでしょう。

単純承認・相続放棄・限定承認の選択

遺産相続は、単純承認・相続放棄・限定承認の3種類があります。

 

まず、単純承認は、被相続人の財産をすべて相続するケースです。

 

相続放棄は、被相続人の財産を一切相続しないケースです。マイナスの財産がプラスの財産を上回ることが確実な場合に利用されます。

 

限定承認は、相続によって得たプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も相続するというケースです。

 

例えば、相続財産全体でプラスの財産かマイナスの財産のどちらが多いかわからないケースや、自宅など、相続財産中にこれだけは取得したいという財産がある場合などで利用されます。なお、相続放棄と限定承認をする場合の期限は、被相続人の相続人だと知った時から3ヵ月以内です。限定承認をする際には、相続人全員の同意が必要なので早めに話し合う必要があります。

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