(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸物件オーナーの頭を悩ませる問題のひとつ、「瑕疵物件」。所有する物件がいわゆるワケあり事故物件になってしまった際には、新しい入居者に対する「告知義務」が発生するケースがあります。もし、告知すべき事項が漏れており、入居後に入居者から「聞いていなかった」といわれるなど、トラブルに発展した場合どうなるのでしょうか? 告知義務違反の判例とともに告知義務違反にならないための対策を清水将博弁護士が詳しく解説します。

入居時のガイドラインを作成する際の注意事項

上記のとおり、どのような場合に告知を行わなければならないのか、という点を事前に整理をしておくことが望ましいです。そして、この説明義務については、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(※)」を参考にするとよいでしょう。

 

このガイドラインにおいては、おおむね、次の場合に告知を告げなくてもよいと定められています。

 

①自然死または日常生活のなかでの不慮の死

老衰、病死、階段からの転落等による不慮の死は、原則として告知を要しません。もっとも、この場合であっても、長期間放置されていたような事情がある場合は、契約締結の判断に重要な影響をおよぼす事項として、告知を要する場合があります。

 

②自殺・事件等の発生からおおむね3年が経過した場合

心理的な影響の希薄化、関心の低下等により、事件・事故の発生から3年程度経過すれば告知を要しません。ただし、当該自殺・事件等の社会的影響や、周知性が特に高いような場合は、3年経過後も告知を要する場合があります。当該自殺・事件等が日常的に使用する共用部分で生じた場合についても同様とされています。

 

③賃貸物件の隣戸、日常的に使用しない共用部分においての自殺・事件等

原則として、告知を要しません。ただし、②と同様に、社会的影響や、周知性が特に高いような場合は、告知しなければならない場合があります。

 

上記以外の場合は、賃借人が借り受けるかどうか判断する際に重要な影響をおよぼすと思われる場合には、告知することが必要になります。

 

具体的には、自殺・事件等の発生または発覚時期、場所、死因(不明の場合は不明である旨)、いわゆる特殊清掃が行われた場合はその旨を告げます。また、告知する際は、亡くなった方やご遺族の名誉や生活の平穏への配慮のため、氏名や死の態様等を告げる必要はありません。

まとめ

自らの不動産が事故物件にならないようにすることは不可能でもあり、避けて通れないところでもあります。

 

不幸にも事故物件となってしまった場合においても、告知義務違反により二次被害が生じないように、できる限り丁寧に、真摯に、説明義務を履行することは重要です。国土交通省が定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を踏まえた説明義務を履行し、賃借人に納得して入居してもらえるように対応することが重要です。

 

 

清水 将博

MSみなと総合法律事務所

代表弁護士

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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