元夫との子は相続を受けられる?離婚と相続の仕組み
「3組に1組の夫婦が離婚する」といわれることもあるように、離婚は決して珍しいことではありません。そして、離婚した元配偶者とのあいだに子がいる場合も少なくないことでしょう。
では例として、離婚した元夫が亡くなった場合、「元妻」や「元妻が親権を持つ元夫とのあいだの子」に相続権はあるのでしょうか?
まず、この例での元妻は、離婚した元夫の相続人にはなりません。配偶者は相続の権利を持ちますが、離婚をした時点で夫婦の関係は法律上終了するので、離婚した相手はもはや配偶者ではありません。
そのため、亡くなる以前に離婚が成立していた以上、元夫から相続を受けることはできないこととなっています。
では、2人のあいだの子どもはどうでしょうか?
親子関係は、両親の離婚によってなんら変動するものではありません。離婚によって未成年の子の親権を母が持ったとしても、その子と父との親子関係が終了するわけではないので、両親が離婚しても、子の相続権はなんら影響を受けないのです。
この例でいうと、離婚後に母が親権を持った子には「母からの相続を受ける権利」があるだけでなく、「親権者ではない父からの相続を受ける権利」も持っているということです。
相続前に離婚した元夫の相続人は誰になる?
では、相続が起きる前に離婚が成立し、その後元夫が死亡した場合に、元夫の財産を相続する相続人は誰になるのでしょうか? 4つのケースにわけて解説していきましょう。
1.離婚した元夫が再婚している場合
元夫が別の女性と再婚している場合、元夫の死亡時の配偶者である再婚相手は、常に相続人となります。
2.離婚した元夫に子や孫がいる場合
元夫に子がいる場合には、子が相続人となります。配偶者も子もいる場合、配偶者と子はともに相続人です。そして、先ほど説明したとおり、親の離婚によって子の相続権がなくなることはありません。
そのため、元夫の子でさえあれば、「元妻との間あいだの子」であっても「再婚相手とのあいだの子」であっても、また「籍を入れていない内縁の配偶者とのあいだの子」であっても、等しく相続人となります。なお、元夫よりも子が先に亡くなったが孫(亡くなった子の子)がいるという場合には、孫が代襲して相続人となります。
また、元夫より子も孫も先に亡くなりひ孫が存命である場合には、再代襲の結果、ひ孫が相続人となります。
3.離婚した元夫に子や孫がおらず両親が存命の場合
元夫に子や孫などが1人もいず、元夫の親が存命の場合には、元夫の親が相続人となります。この場合、元夫に死亡時点で配偶者がいるのであれば、配偶者と親がともに相続人です。
両親がともに存命であれば両親がともに相続人となり、父母のどちらか一方のみが存命であれば、その存命の父または母が相続人となります。なお、父母がいずれも他界しており、存命の祖父母がいる場合には、その存命の祖父母が相続人となります。
4.離婚した元夫に子や孫がおらず両親も他界している場合
離婚をした元夫に子や孫などが1人もおらず、元夫の親や祖父母はすべて他界している場合には、元夫の兄弟姉妹が相続人となります。この場合、元夫が亡くなった時点で配偶者がいるのであれば、配偶者と兄弟姉妹がともに相続人です。
また、兄弟姉妹のなかに元夫より先に亡くなった人がいる場合には、その亡くなった兄弟姉妹の子である甥や姪が代襲して相続人となります。ただし、兄弟姉妹もその子である甥姪も亡くなっている場合であっても、甥や姪の子が相続人となることはありません。
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